亡くなった永六輔さんの人気連載に「無名人語録」があった。ひたすら拾った街の声には、はっとさせられる真実が宿る。記者の仕事も、印象的な言葉に出合えることが多い

▼「家族サービスはしていないよ。家族と過ごす、って言ってほしい」。公務員の男性。確かにサービスという言葉には「働くお父さんがしてあげる」含みがある。以来、使わないようになった

▼「ただの観光客と思うな。何かのプロと思え。漁業や営業、仕事がなくても家事のプロかもしれない」。海洋博公園で園内バスの運転手だった男性。敬意を込めた接客が人気で、本土からわざわざ会いに来るリピーターもいたという

▼「貧困、虐待、原発、辺野古、シリア内戦も私にとっては同じ。全部子どもの未来のこと」。小児科医の女性。新聞による「子どもの貧困」キャンペーンを評価しつつ、「それだけじゃない」と語った

▼「全然弱者じゃない。キャラが強すぎてこっちが振り回されている」。福祉施設の女性は冗談めかした。知的発達に支援が要る利用者の個性を尊重し、就労を後押ししている

▼「わったー親は人のことをやりたい放題」。母を亡くした男性。母は夫が早世し、5人の子を育てる大変な生活の中でも福祉活動に熱心だったという。会葬御礼の書状に「母にならい、真っすぐ歩む」と書いた。(阿部岳)