夏休み明けに子どもの自殺が急増する傾向にあるとして、文部科学省が、学校や保護者に「心のSOS」を見逃さないよう呼び掛けている。

 内閣府によると、過去42年間で自殺した18歳以下の子どもは1万8048人。自殺した日を分析したところ、夏休み明けの9月1日が131人と突出して多かった。

 自殺に追い詰められるほど、学校に行くのがつらい出来事があったのだろうか。9月1日前後のほか、4月の新学期前後にも増える傾向がみられた。

 子どもの自殺の原因は「家族からのしつけ、叱責(しっせき)」「親子関係の不和」といった家庭生活によるもの、「学業不振」「進路に関する悩み」など学校生活に起因するものが多い。

 長期の休み明け直後は大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすいという。

 文科省は8日付の通知で、学校側にアンケートや教育相談を実施し、悩みを抱える児童生徒の早期発見に努めるよう要請した。保護者に対しては休み中の見守りを依頼している。

 他の世代に比べ、10代前半は予兆を見せずに命を絶つ傾向があるとされる。周囲に悩みを打ち明けやすい環境を大人たちがつくることが重要で、子どもの小さなサインを見逃さずに手を差し伸べたい。

 文科省の「24時間子供SOSダイヤル」など相談できる場所があることを、子ども自身に知らせる努力も必要だ。

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 厚生労働省の自殺対策白書によると2015年の自殺者数は2万4025人。6年連続で減少しているとはいえ、人口10万人当たりの自殺死亡率は18・9と先進国の中では際立って高い水準にある。

 白書は若い世代の「深刻な状況」も指摘する。自殺死亡率全体は低下しているものの20歳代未満は横ばい、15~39歳の死因の1位が自殺という状態である。 

 4月に施行された改正自殺対策基本法は、いじめなどを原因とする若者の自殺は依然として深刻な問題とした上で、学校現場での自殺予防教育の強化を促している。

 学校での相談体制を整え、教員への研修機会を設けるほか、保護者や地域住民と連携し、教育や啓発に取り組むことを規定する。悩みを1人で抱え込まないよう「SOSの出し方」なども教えるという。

 子ども自身が問題を解決する力を身に付けることも重要だ。

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 15年の県内の自殺者は281人。うち20歳未満は6人。

 改正法は新たに地方自治体に自殺防止の計画策定を義務付けている。

 「多くが追い込まれた末の死」であり、「防ぐことのできる社会的問題」で「自殺を考えている人は何らかのサインを発している」と政府の自殺総合対策大綱は記す。

 自殺者の年代や性別、職業などは地域によって違いがある。原因も多岐にわたっている。

 地域の実情を勘案し、実態にあった効果的な取り組みを推進すべきだ。