短期決戦の人気投票で選ばれたものの、想定外の大根役者で舞台の途中に引きずり下ろされた-

▼大都会から距離を置くと、舛添要一都知事(67)の辞任劇はそんなふうに見えてくる。同じように「政治とカネ」で辞めた猪瀬直樹前知事、その前の石原慎太郎元知事と3氏連続で異例の任期途中の交代である

▼政治資金流用問題などが浮上してから舛添氏の釈明は世間の常識とかけ離れていた。問題視された支出を「不適切だが違法性はない」と言い募る姿は、自信満々の政治学者ではあっても、政治家ではない

▼不信任案の先送りを求めたのは、ひとえに五輪への固執。「ここまで耐えてきたのはリオ五輪・パラリンピックで東京が笑いものになるから。東京の名誉を守りたい」。“ケチ事”だの、せこいだのと酷評された知事から、この期に及んで名誉と言われてもあきれるばかりだ

▼9日までに都庁に寄せられた苦情などは3万2千件。辞職は決まったが、正月に家族と宿泊したホテル代や106点の美術品購入、自宅近くの料理店での支払いなど疑問は残ったままだ

▼約2200万円の退職金が支払われ、参院選直後の都知事選は約50億円かかる。疑問は解明されず、政治資金のあり方は変わらず、短期間で巨費を使って知事が選ばれて幕引きとなれば、政ならぬお祭りである。(与那嶺一枝)