出張などで国内各地を訪れる。歴史を感じる街並みがあり、はぐくんできた文化の薫りが漂う土地は、国内はもとより海外の観光客にも人気であることに気づく

▼そんな場所に行く度に思う。「あの戦争がなかったら」。沖縄はもっと魅力的だっただろうにと、失ったものの大きさに無念さが胸をよぎる。原爆で甚大な被害を受けた広島や長崎の記者も同様に感じるという

▼先日、カナダ人映像作家に戦前の沖縄の映像「琉球の風物」をみせてもらった。本物の首里城の風格、趣ある石畳、独特の装飾がある橋や建築、さまざまな反物がずらりと並ぶ市場…。想像以上の光景に目を見張った

▼民藝運動を率いた柳宗悦らが、伝統息づく「琉球」にひかれ来島した際に撮られた映像は、柳らが称した「美の宝庫」の沖縄であった。それだけになおさら、戦禍が恨めしくなった

▼東京の日本民藝館では現在、創設80年の特別展「沖縄の工芸」が開かれている。琉球王朝時代の陶器や染織物、漆器などが展示されている。文化に強い誇りを持つ当時の職人が、自らの仕事に一心に打ち込んでいる姿さえ浮かぶようである

▼失われたものも含め、沖縄的な独自性や豊かさに、より目が向くようになった。日本にとって沖縄は何なのだろうかと考えさせられることが多いことも影響している気がする。(宮城栄作)