沖縄の青い空、海を眺めながらこだわりの料理を楽しむことができるフードフェス「OKINAWA FOOD FLEA」(オキナワフードフレア)をご存知でしょうか?

2016年5月8日に宜野湾マリーナで開催されたOKINAWA FOOD FLEAの様子

北谷で人気の居酒屋「月と器」を経営しながらOKINAWA FOOD FLEAを主催する石井さん

情報発信の中心となっているOKINAWA FOOD FLEAのFacebookページ

人気の店舗は大行列に。お昼すぎには売り切れてしまう店舗も

料理人や生産者とのコミュニケーションも楽しめる魅力の一つ

2016年5月8日に宜野湾マリーナで開催されたOKINAWA FOOD FLEAの様子 北谷で人気の居酒屋「月と器」を経営しながらOKINAWA FOOD FLEAを主催する石井さん 情報発信の中心となっているOKINAWA FOOD FLEAのFacebookページ 人気の店舗は大行列に。お昼すぎには売り切れてしまう店舗も 料理人や生産者とのコミュニケーションも楽しめる魅力の一つ

 2014年8月にスタートし、約3カ月に一度開催されています。いまや集客は1万人を超え、沖縄を代表するイベントとして県内外から注目を集めています。オープン前から行列ができる人気ぶりで、厳選された飲食店を中心に、雑貨、野菜、洋服を販売する店舗が並び、子どもと参加できるワークショップや音楽ライブも楽しめます。

 多くのファンに支持されてるフェスですが、スポンサーもおらず、広告費もWEBサイトもありません。人気の秘密はどこにあるのでしょうか? イベントに懸ける思いや取り組みについて、“仕掛け人”である主催者の石井雄一郎さんにお話を聞きました。

■「正しい大人の在り方」を子供に示せるイベントにしていきたい

-イベントを通じてどんなメッセージを発信していますか

 「大人が楽しむ」というコンセプトでスタートしました。料理人やスタッフの本気の姿、そして参加者が目一杯楽しむ姿を子供たちがみることによって、大人ってカッコイイなと感じてくれるようなイベントにしたいと思って運営しています。回を重ねた今は、「正しい大人であるべき」という新しいコンセプトも加えました。

 大人って、子供にはいろいろとしつけをするのに、当の自分はできていないことが多いじゃないですか。例えばイベントでも、障がい者スペースに健常者が車を止めたり、ゴミを道に捨てたりする光景が見られます。子供に伝えることと矛盾している大人は、リスペクトされるはずがないと思うんです。子供は大人をみて育つわけで、やっぱりそこはかっこいい大人でいてほしい。

 OKINAWA FOOD FLEAでは、大人に気づいてもらうためにも開催しているというメッセージを、それとなく気づかせていく仕組みを作っていきたいと考えています。

 イベントをスタートさせたのは、食を通じて幸せを提供するためです。幸せの大きなサイクルを作りたかったですし、出店者も普段できないチャレンジの場にしてほしいという思いも詰まっています。出店者同士のコラボ商品も生まれ、実店舗がなくても出店をお願いしたりしています。夢を実現するきっかけになってくれたらうれしいです。

―情報発信はソーシャルメディアだけで、WEBサイトもありません。どのように周りを巻き込んで、1万人以上を集める大きなイベントに成長させたのでしょうか?

 出店者にどう共感してもらえるかをずっと意識して動いています。僕の考えや思いをしっかり伝えられるよう、密にコミュニケーションを取っているのは出店者の方々だけなんです。出店をお願いするお店も全部僕がセレクトしていますし、実際に足を運んで食事もしています。時間的にも財布的にも大変ですけど、やっぱり自分でその雰囲気をみないと、どんなお店なのかわからないじゃないですか。

 幸いにも、出店者が僕の考えに共感してくれて、お客さんにイベントのことを伝えてくれているんだと思います。SNSも使ってはいますけど、やっぱりリアルな口コミが重要です。スタッフからお客さんへと直接、情報が伝わり、どんどん輪が広がっているのではないかと思います。

 出店に関しては、来場者が1日中楽しめるように、ランチ、おやつ、ディナーと切り口を分けて選んでいます。1回目は開催地の北谷町を盛り上げたいという思いがあって、ハンバーガーの「ゴーディーズ」、創作料理の「スー・スー・スーン」、ビアバーの「ビアライゼ」など北谷のお店を中心に選びました。23店舗からスタートして、今は59店舗が参加しています。

―2年経たずに2倍以上の規模にまで拡大するとは驚きですが、これまで大変だったことはありますか?

 初回から来場者が予想以上に多く、材料が足りずにお店を閉めなければならなかったこともありました。うれしい悲鳴なんですが、1500人ほどの見込みが、ふたを開けてみると5000人だったり。

 金銭的にも大変で、貯金を切り崩しながら運営を進めてきました。携わる人も少なく、スタートしたときは広報のSandyとたった2人。その後も何が大変だったか覚えていないくらい毎回、あっという間です。

 屋外イベントなので、天候にも悩まされています。

 2015年8月の1周年イベントは、台風で中止になってしまいました。9月に延期したら、また台風でダメ。2回連続の中止でこのままイベントがなくなったらどうしようとすごく不安でした。その前の5月のイベントも、場所の問題で延期になっていました。開催期間があいてしまうと、出店者の気持ちが萎えてきてしまうじゃないですか。それで出店者の元に出向いて話をしたり、新しい出店者を開拓したり、火を絶やさないように必死でした。

 やっと実現できた10月は涙の1周年になりました。その時も人が来すぎちゃって、パンク状態に。それも大変でした(笑)。でも、それだけファンが楽しみにしてくれていたんだなと思うとうれしかったです。

■「沖縄の歴史にしたい」3世代にわたって愛されるイベントに

―イベントに関して日々、様々なアイデアを出して実行していると思いますが、普段からメモを取ったり、フレームワークを使ったり、独自の方法はあるのでしょうか?

 アイデアを出すときに大事にしているのは、全てが上手く循環するサイクルになっているかどうかです。このイベントに関して言えば料理人、生産者、お客さん、そして人だけでなく食材や会場など、関わるものが全て幸せになり、持続していくサイクルです。

 カナダに住んでいる時によく足を運んでいたのですが、僕は街のマルシェ(市場)がすごい好きなんです。そこでは、よりよいサイクルが確立されていたんですよね。野菜や魚などの食材もあり、料理人もいる。料理人はそこで売っている食材で料理を作り、お客さんはそれを食べてリラックスし、またその野菜を買って帰って家でも料理を楽しむ。料理人も得た対価で新しい料理にチャレンジし、食材もよりよく使われる、そんなサイクルを実現していきたいと思っています。OKINAWA FOOD FLEAではどちらかというと飲食店が中心なので、これからまた別軸で生産者さんにもフォーカスをあてたマルシェ形式のイベントにもチャレンジしていきたいと考えているところです。

 関係する物事が全てハッピーになる循環の実現はすごく難しいと思うんですけど、知恵の輪みたいなもので、ずっと考え続けていれば、あるタイミングでそのサイクルがつながるアイデアがパッと生まれてくるのものだと思っています。いろんなところに行ったり、人と話したり、自分と向き合ったり、じっくり考えることが大切です。いいアイデアはすぐには生まれないですよね。OKINAWA FOOD FLEAもブルックリンのスモーガスバーグや東京の青山ファーマーズマーケットなどいろいろなところを参考にしつつ、この沖縄だからこそできることはないかと考えぬいて実現しました。

 お店のお客さんももちろん、出会う人みんながネタ帳みたいなものです。得られるものは吸収していきたいし、相手が得意なものは相手に任せるなど、バランスも重要だと考えています。

―イベントをやってよかったという瞬間はどんな時でしたか?

 ちょうど7回目のイベントで、ボランティアスタッフのみんながすごいキラキラして輝いていたんです。めちゃくちゃ忙しいにもかかわらず、ピッカピカの笑顔で活き活きとイベントを手伝ってくれていました。すごく嬉かったし、「みんなかっこよすぎるやん」と思わず伝えちゃいましたね。

 物事は自分の周りから変えていかないといけないんですよ。他人を変えようと思っても絶対に変えることはできないけど、まずは自分の身近な人たちなら変えていけるかもしれないじゃないですか。そこを飛び越えて大きなことはできないと思うんです。運営スタッフのみんなが輝き始めたことがすごく嬉しくて、本当に感動しました。

―OKINAWA FOOD FLEAの今後の目標は?

 流行りではなく、沖縄の歴史にしていきたいと考えています。3カ月に一度のご褒美感覚でマイペースでやっていきながら、沖縄のカルチャーの一部となるイベントにしていきたいです。

 規模の拡大や流行を求めるものではなく、自分の子供が大きくなって、また自分の子供を連れて行くような3世代先まで続くように成長させたいです。それこそ、孫が「俺のおじいちゃんが始めたイベントなんだよ」と友だちに自慢できるような、長く続くものにしていきたいと思っています。

 2016年8月で2周年です。自信をもって進化しているイベントだと言えます。地元の人たちが愛するイベントとして確立し、それを目的に沖縄観光に来る人たちをもっと増やしたいし、沖縄でこんなカッコいいことが行われていることを知らしめたいと思っています。出店者はもちろん、参加者も面白い方々ばかりですし、週末開催で、会場も海を眺められる公園です。何かを壊して新しいものを作る必要は決してないと考えています。もともとそこにある土地や住んでいる人たちにアイデアを少しプラスすることでもっと沖縄を面白くできると思うんです。

 8月の2周年イベントは夜に行おうかと画策中です。楽しみにしていてください。

<次回イベント>
8月20日午後3~9時、場所はかりゆしアーバンリゾート那覇隣広場

<プロフィル>
石井雄一郎(いしい・ゆういちろう) 1978年京都生まれ。学生時代をカナダで生活。京都で料理人修行をした後、沖縄県民の地元への誇りやアイデンティティーを知りたいと思い、沖縄に移住。北谷町で焼き鳥屋「月と器」を経営。Facebook https://www.facebook.com/okinawafoodflea/