スタート当初から準備不足や目的のあいまいさが目立ち、実効性を疑問視する声が多かった。それにしてもひどい話である。

 防衛本省や全国の防衛局から沖縄に派遣された約70人の職員が、米軍関係者による事件の再発防止のための防犯パトロールにはまったく従事せず、東村高江のヘリパッド工事に伴う警備活動にあたっていたことが明らかになった。

 いきさつはこうだ。

 米軍属による女性暴行殺人事件を受け政府は6月3日、警察官100人の増員や「沖縄・地域安全パトロール隊」の創設など再発防止策を打ち出した。

 翌4日の社説で小紙は、次のように指摘した。

 「警察官の増員や地域安全パトロール隊は、辺野古新基地建設や東村高江のヘリパッド建設をにらんだものではないのかとの疑いも消えない」

 懸念が現実になってしまったのである。

 防衛省は「防犯パトロール」と「(ヘリパッド工事再開に対する)妨害活動」に対処するため、7月中旬から12月末まで職員を派遣するよう全国七つの地方防衛局に文書で依頼した。「男性職員を派遣して欲しい」とも記されている。

 だが、実際には、「米軍関係者による悲惨な事件を二度と繰り返さないため」だと政府自ら称する防犯パトロールには参加せず、東村高江周辺で反対派の行動を監視し警戒する業務にあたっていた。

 何をかいわんや、だ。県民に対する背信行為というしかない。

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 政府は6月15日、沖縄総合事務局と沖縄防衛局の職員を集め、鳴り物入りでパトロール隊の出発式を行ったあと、青色灯をつけたパトロールカー20台を繰り出し、防犯パトロールに乗り出した。

 将来的には非常勤職員を雇用し、100台態勢で対応する計画である。

 十分な準備も人的手当も、関連するボランティア・グループとの調整もないまま見切り発車したのはなぜか。

 総合事務局では組合や幹部職員から疑問の声が上がっていた。6月19日に県民大会、7月10日に参院選を控え、県民感情を和らげるための「政治的パフォーマンス」が優先されたのである。

 沖縄への応援職員の大量派遣についても、地方防衛局の中には、本来業務との関係や経費面から派遣を疑問視する職員がいた。

 官邸や防衛省上層部のやり方があまりにも強引なために、至る所でひずみが生じ、再発防止策までゆがめる結果を招いているのである。

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 再度、問う。警察官の100人増員計画もそうだが、「高江・辺野古」の工事再開に対処することが政府の主要な目的ではないのか。

 安倍晋三首相は、来日していたオバマ大統領に実効性のある再発防止策を求め、政府は「沖縄県における犯罪抑止対策」として一連の防犯強化策を打ち出した。

 工事再開の「警備」が主で「防犯パトロール」が従であれば、ことは重大だ。政府は県民の不安につけ込んで巧妙に県民を欺いたことになる。