夢の大舞台まであと二つ-。高校野球の第98回全国選手権沖縄大会は16日に沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行う。4強入りした嘉手納、那覇西、小禄、美里工業が初の夏の甲子園出場を賭けて熱戦を繰り広げる。

変化球主体の投球で打者を打ち取る嘉手納のエース・仲地玖礼

4試合を完投した那覇西のエース・赤嶺由生郎

打率5割超の小禄の1番打者・大城旭

主将で主軸を打つ美里工の松川剛大

変化球主体の投球で打者を打ち取る嘉手納のエース・仲地玖礼 4試合を完投した那覇西のエース・赤嶺由生郎 打率5割超の小禄の1番打者・大城旭 主将で主軸を打つ美里工の松川剛大

 第1試合は両校ともに初の準決勝進出を果たした嘉手納と那覇西が戦う。第2試合は9年ぶり8度目の4強入りを果たした小禄と3年ぶりの決勝進出を狙う美里工業が対戦する。

 3回戦までにシード校がすべて消え、昨年大会優勝校も敗れる展開となった。各校ともにノーシードから勝ち上がり、勢いに乗る。初の甲子園切符をつかみ、「一番長い夏」を手にするのはどこか。4強のこれまでの戦いぶりや戦力、キーマンを紹介する。 

▽第1試合 嘉手納-那覇西

<見どころ>

 両校ともに好投手を擁し、1点を争う好ゲームが予想される。

 那覇西のエース赤嶺由生郎は今大会で唯一4試合を1人で投げ抜いてきた。また、嘉手納の仲地玖礼も3試合で26回1/3を投げ、自責点4と好投する。

 那覇西は3回戦まですべて逆転勝ちし、2度の延長戦を制すなど、粘り強さを武器に勝ち上がってきた。嘉手納も2回戦まで高い攻撃力でコールド勝ち。互いにどう打ち崩すかが鍵となる。

【嘉手納】強豪連破で勢い 大城が打線をけん引

 嘉手納は強豪ひしめくAブロックで勝ち上がり、勢いに乗る。昨年大会優勝の興南や八重山、糸満を破った八重山商工を接戦の末に下した。大蔵宗元監督は「この2戦を見据えて大会に臨み、一つのヤマ場を越えることができた。これからが本番」と気を引き締める。

 秋季、春季大会ともに8強入り。エースの仲地玖礼が試合をつくってきた。3回戦、準々決勝では完投し、変化球を武器に2失点に抑えた。得点圏に走者を置きながらも、打たせてとる投球で点は与えなかった。

 また、8番大城堅斗は春まで4番に座り、主砲としてチームをけん引してきた存在。興南戦、八商工戦で決勝点を挙げるなど、チャンスを確実にものにする勝負強さを持つ。だが打率は3割台にとどまり、「もっと打ちたい」と腕をまくる。「試合をやるたびにチームの調子も上がってきた。準決勝、決勝で打ち勝って甲子園を決め、監督を笑顔にしたい」と初の頂点をにらんだ。

<キーマン>エースの仲地 窮地に集中力

 2回戦から登板して26回1/3を投げ、防御率は1・37。1年生の頃からマウンドに上がる仲地玖礼は、興南、八商工打線を打たせて取るピッチングで2失点に抑えてきた。「ピンチでの集中力が上がっている」と成長を実感している。

 「どんな球も受け止めてくれる。沖縄一うまい」と女房役の知花拓哉に絶大な信頼を寄せる。走者を出せば内角への速い変化球で詰まらせ、併殺を狙うなど、「場面ごとに投げ分けられている」と自信をみせる。

 初優勝へ向け「投手が抑えないと甲子園にはいけない。一球一球を大切に勝ち抜いていく」。エースに油断はない。

【那覇西】粘り強さ持ち味 エース軸に堅い守り

 那覇西は守備からリズムをつくって勝ち上がり、初の4強入りを果たした。

 県春季大会2回戦、沖水との延長15回引き分け再試合の末、1-6で敗れた。「失策から点を取られた」(山城和也監督)ため、夏は守備を重視して先発を組み替えた。4試合で失策3は嘉手納と並んで4強最少と安定。エース赤嶺由生郎を要に堅い守りを誇る。

 一方、チーム打率2割6分7厘は4強で最も低い。それでも3回戦の宜野湾戦、準々決勝の前原戦と2日連続で延長戦を勝ちきる粘り強さをみせた。4番に座る宮城律希は「コツコツつなぐ打線だが、自分は4番としてもっと貢献したい。チャンスで一本打ってエースを助ける」と拳を握る。

 山城監督は「春と比べると、負けないための泥臭さがある。いい意味で結果を求めるようになった」とチームの成長を語る。本命不在となった夏の頂点を、虎視眈々(たんたん)と狙う。

<キーマン>赤嶺に安定感 防御率1・26

 エースで大黒柱の赤嶺由生郎主将が、快進撃の原動力だ。準々決勝までの4試合43回を一人で投げ抜き、防御率1・26は4強投手陣の中で最も低く抜群の安定感を誇る。

 持ち味は制球力。スピードをやや抑えることで、的確にコーナーを突ける。最速136キロの直球の球威も申し分なく、スライダー、カーブを絡めて凡打の山を築く。

 「本当は三振をバンバン取るのが自分の理想。だけど、今は打たせて取る意識」とチームプレーに徹する。「展開に応じての投球」で嘉手納の強力打線封じに意気込んだ。

▽第2試合 小禄-美里工

<見どころ>共に強打 乱打戦か

 両チームともチーム打率が3割を超え、乱打戦が予想される。毎試合2桁安打の美里工業に対し、小禄は投手陣の継投が鍵となる。

 美里工業は準々決勝の宜野座戦で4-6の九回に3得点で逆転勝ちするなど、集中打で勝利をつかんできた。3割7分と好調な打線をつなげたい。

 小禄は打率5割超を誇る1番大城旭、5番長嶺有馬をはじめ上位打線の活躍が光る。チーム打率も3割6分5厘と調子がいい。先制点を奪って投手陣を助けられるか。

【小禄】打撃磨き快進撃 粘り信条に接戦制す

 粘り強く、諦めないこと。小禄は平常心をモットーに、接戦を制してきた。野原潤一監督は「4~5失点することは常に覚悟している」という。打ちつなぐ攻撃で得点を稼いで投手陣を助け、勝利に結びつけた。

 野原監督は「うちが一番力がないのでは」と謙遜するが、チーム打率は3割6分5厘と好調だ。5割を誇る1番大城旭、5番長嶺有馬を筆頭に、3番上原琉依、4番上原優作も4割超え。準々決勝では秋4強の那覇商業から16安打11得点と打線が爆発した。

 他部と練習が重なり、満足にグラウンドが使えないため、バッティング練習は早朝のみ。だが、トランポリン上で素振りをするなど、工夫を凝らして打撃力を磨いた。

 準決勝の美里工業は4強トップの打率を誇り、乱打戦が予想される。銘苅梨氣主将は「チャレンジャー精神で臨む。自分たちの力をすべて出せるようにしたい」と力を込めた。

<キーマン>俊足誇る大城 打率も5割超

 先頭打者の大城旭は打率5割2分6厘とチームトップの成績。100メートル11秒60の俊足で、盗塁を2個決めた。野原潤一監督は「バットコントロールもうまく、チャンスをつくり、決めることもできる」と期待する。

 2回戦以降、初回から長短打で出塁して好機を演出してきた。「きわどい球を見極め、粘って甘い球を打つ」と、出塁率は5割9分1厘を誇る。

 春季大会では一本も打てず、悔しさをバネに練習に励んだ。「準決勝ではいつも通り先頭に出ることを心がける。足も絡め、常に次の塁を狙っていきたい」とさらなる飛躍を誓った。

【美里工】全4戦2桁安打 3投手継投策ぴたり

 打撃好調の美里工業は1回戦から全4戦を11安打以上放ち打ち勝ってきた。チーム打率は残った4強の中で一番高い3割7分だ。

 準々決勝では宜野座相手に11安打。4-6で迎えた九回に3点を挙げ逆転勝ちするなど、「粘りの打」「強気の打」を印象づけた。

 今大会で1番浦崎竜平は4割2分を超え、2番前徳柊亨は5割と高い打率を誇る。低迷気味の主軸に火がつけば、相手にとっては脅威となりそうだ。

 投手陣は左腕の辺土名海を中心に右腕の漢那憲琉、宮城貴文の三枚をそろえ、継投してきた。堅守もチームの特長で、捕手の松川剛大主将は「コースを突いて、打たせて取りたい」と意気込む。

 神谷嘉宗監督は「ピンチの時にいかに相手と駆け引きできるか。打たせない、ランナーを進めない配球で相手打線を抑えたい」としている。

<キーマン>攻守の要・松川 打撃回復誓う

 チームの柱は捕手で3番打者の松川剛大主将。神谷嘉宗監督も全幅の信頼を置く選手だ。攻守の要は「目の前の一戦一戦を勝つことに力を向ける」と平常心で試合に臨みたいと意気込んでいる。

 1、2番が出塁し、主軸で返すという理想の得点パターンがチームの特徴。だが、準々決勝の宜野座戦で松川は4打数1安打とふるわなかったことから反省を口にし、「3、4番が打たないといけない。走者をかえす打撃を心がける」と奮起を誓う。

 「甲子園も見えてきている。勝ちにこだわる」と前を見据える。