【郷田まみ通信員】書道家・浜野龍峰さんの個展「宝」がブエノスアイレス市内のパレ・ド・グラスで12日から始まった。漢字で埋め尽くされた会場の円形のメインホールの壁には、数え切れないほどの名字が書かれており、訪れる人々を圧倒している。

多くの漢字で埋め尽くされた展示会場。訪れる人を魅了している=ブエノスアイレス市

 1967年の在亜日系人録から1360人を書いた「Nikkei」、1899年南米移民790人を乗せた佐倉丸の乗船名簿「さきがけ」、1968年アルゼンチンで暮らした日本人を記した「日本人」などの作品が並ぶ。

 また名前が一つずつ書かれた筒状の作品が床にいくつも置かれ、人々が移動する空間自体がインスタレーション作品になっている。何千もの名字に囲まれると、無限に広がる漢字の背後に無数の顔、生命力、歴史、伝統を強く感じることができる。

 これらの大型作品のほかにも万葉集や貧窮問答歌から言葉を選び記した作品もある。浜野さんは「時代、社会、世界。急激な変貌、目まぐるしく流れる時代の渦。流れゆく時の中に『変わるもの』『変わらないもの』『変わってはいけないもの』がある。書を通じて、そんな事を伝えられる空間を創りたかった。その思いが伝わればうれしい」と語った。

 オープニングセレモニーには多くの人々が訪れた。浜野さんは「道」という一文字をライブペインティングで披露、観客を魅了した。

 浜野さんの個展「宝」はパレ・ド・グラスで8月15日まで。