昨年8月、第一航空(大阪府)のプロペラ機が粟国空港の滑走路を外れてフェンスに衝突し11人が負傷した事故で、着陸時に機体を操縦していた副操縦士=当時(62)=が、62歳以上の操縦士に義務付けられた身体検査を受けていなかったことが17日、分かった。

着陸後、滑走路から外れてフェンスに突っ込んだ第一航空の双発プロペラ機DHC6=2015年8月、粟国空港(粟国空港管理事務所提供)

 操縦士の定年は従来60歳だったが、人材不足から国は68歳未満まで引き上げた。運航の安全確保のため、国土交通省は2015年3月、航空運送事業者に対し、62歳以上の国内線操縦士には通常の身体検査に加え、心電図や脳波などを調べる「付加検査」の受検・合格を義務付けた。

 関係者によると、副操縦士は同年採用された際、身体検査証明書と「付加検査」とは別の証明書を同社に提出。同社の担当者は「付加検査」と思い込み、運航に当たらせていた。

 事故後、大阪航空局の監査で担当官に指摘され、未受検が発覚。同社の内部調査に対し、副操縦士は「身体検査で付加検査も実施したと思った」と述べ、管理担当者は「検査証明書を熟知してなかった」と述べたという。

 同社は今年3月、操縦士の訓練記録の改ざんや、不適切な形態で着陸を繰り返したとして、大阪航空局から事業改善命令を受けた。