〈それでも、前を向いて立ち向かっていけば 傷つき、泣きながら、生きていきませんか〉

ギター1本で全国各地を訪ね歌声を聞かせているカワミツサヤカ=東京・銀座の路上

 2014年にリリースした「風波花」のボーナストラック「あのね」で歌う。つらくても、悔しくてつぶされそうでも、なんとか生きていこう。そんな思いをシンプルなギターに乗せて歌い、聴かせる。

 「あのね」以外の曲も、胸にダイレクトに染み入ってくる感覚が残る。

 「見えない誰かのために作っているんですよね。心を大事にしています」

 自らの、または、人の心の機微を敏感に察知して歌を紡いでいるようだ。曲想は決して明るいとはいえないが、聴いた人は「救われた」「心に染みた」と、ファンが増えている。

 ギター好きの両親のもとに育ち、小学生の頃からギターを弾いてきた。中学生になると作詞・作曲も手掛けるようになった。18歳でバンドを組み、メジャーデビューし上京した。曲がJTAのCMソングに採用されたこともある。

 09年にバンド活動は休止したが、諦めることなく、休止翌日から渋谷や川崎などで路上ライブを1人で始めた。上京後に流した悔し涙の経験を多くは語らず、自分の胸に落とし込んで歌に生かしている。

 ライブでは、はだしだ。冷たい冬の路上でもそうしてきた。「見えない音、空気で人の心を振るわせるのが仕事」と話し、心を解き放って伝えるには素足の方がしっくりくるのだという。

 録音もCDジャケット作りも営業も友人と一緒に手作り。歌と歌唱力はじわり浸透し、全国各地のライブに声が掛かるようになった。見せてもらった手帳もスケジュールでびっしりだ。

 夢は海外公演。「言葉が違っても心を振るわせる音楽の力を確かめたい」。実現へはだしの歩みを進めていくつもりだ。(東京報道部・宮城栄作)

 かわみつ・さやか 1984年、石垣市生まれ。2002年にバンドを結成し音楽活動を開始し、09年からソロ活動。アルバムは「心の歩幅」「風波花」「露蕾~つゆつぼみ」。10月8日、憧れの渋谷のライブハウス「B・Y・G」のメインステージで、単独ライブがある。