沖縄の家によくある貯水タンク。水道からの水をため、炊事や風呂などで日常的に使われているが、定期的な清掃は浸透していない。水量10トン以下の貯水タンクは水道法で清掃が義務付けられていないためだ。内部で藻やさび、虫が発生していた事例もあり、沖縄県生活衛生課や清掃業者は年1回の清掃を勧めている。(学芸部・榮門琴音)

家屋屋上への設置が定着した貯水タンク。定期的な清掃が必要とされる=16日、南城市

清掃前の貯水タンクの内部。壁面がさびや藻で汚れている(沖縄クリーン工業提供)

家屋屋上への設置が定着した貯水タンク。定期的な清掃が必要とされる=16日、南城市 清掃前の貯水タンクの内部。壁面がさびや藻で汚れている(沖縄クリーン工業提供)

 水道法では水量10トン超の貯水タンクに年1回の清掃と簡易専用水道の管理に関する検査を義務付けているが、10トン以下にはない。県生活衛生課の集計では、県内の10トン以下は約23万5千基(2014年度)だが、清掃は任意のため、実施件数はわかっていない。

 貯水タンクの清掃をしている沖縄クリーン工業(那覇市)では、10トン以下の清掃件数は年間約60件で、10トン超の半数にとどまる。

 同社専務の前田裕樹さんは「設置してから一度も洗っていないという所もあり、重要性が認識されていない」と話す。長期にわたって清掃していない貯水タンクの内部には、さびや藻が発生し、台風でふたが飛ばされ蚊やボウフラが入っていたこともあった。ステンレス製であっても、配管は鉄でさびが浸食するので油断はできないという。

 貯水タンクの清掃に意識が向かない要因の一つには、1993年度まで頻繁にあった給水制限がなくなったことがあるようだ。給水制限でタンクの水が底に近づき、給水再開で水が注がれると沈殿していた汚れが拡散、水が濁る-。これが清掃のきっかけになっていたという。

 「貯水タンクの内部は見えないので意識が低い」と前田さん。屋上によくある3トンの貯水タンクであれば、高圧洗浄や消毒、水質検査など一連の作業にかかる時間は半日程度。「蛇口から赤さびや虫など被害が出て初めて清掃が必要だと気づく方が多いが、毎日口にするものなので日常的に衛生状態を保つことが大切」と強調した。

 県生活衛生課は(1)貯水タンクを外から見て破損がないか(2)ふたはきちんと閉まっているか(3)内部は清潔か-の点検を呼び掛けている。特に台風後の点検は重要だとしている。清掃を依頼する場合は県認可業者を勧めている。