バーを思わせるシンプルでおしゃれな外観。ガラス戸を開けると、カウンター越しにのぞく柔和な笑顔と甘酸っぱい酢飯の香りが出迎える。

「若い世代にも気軽にすしと和食を楽しんでほしい」と語る「SUSHI KISARAGI」の金城和樹さん=東京都港区芝の同店

 2月、東京港区・芝の三田駅近くに「SUSHI KISARAGI」をオープンした。「敷居の高いすし屋のイメージを一変させたい」と思い、若い世代や女性の1人客でも気軽にすしや和食を楽しめる店づくりを心掛ける。ヒノキのぬくもりが伝わってくるカウンター7席。洗練された内装、こだわりの器が目を引く。

 両親は那覇市松川で「寿司(すし) きさらぎ」を営む。高校時代、父親に進路相談すると、一貫して「東京の大学に行け」。後を継ぐようにとは言わなかった。

 首里高校を卒業後、立教大に進学。経営学などを学びながら、夜はすし屋のバイトに精を出した。卒業時、すし職人になろうと、バイト先の店で修行を始めたが挫折。飲食店勤務などを転々し、もんもんとする姿に妻・智華さんから「やっぱりすしがやりたいのでは」と言われ、目が覚めた。27歳から築地の「寿司(すし)岩総本店」で約6年間下積みし、和食とすしを基礎から学んだ。家族の後押しもあって独立を果たした。

 店のメニューは明朗だ。平日昼は限定10食のすしランチ(1500円)。客のペースに合わせて一貫ずつ握るスタイルで「お昼からちょっとしたぜいたくを感じ、『午後も頑張るぞ』と思ってほしい」。夜は食材や品数に合わせた3コース(7千円~)。和食会席の締めにすしを握る。「焼き物や煮物、握りなど目の前で料理するライブ感も楽しんでほしい」。味はもちろん、店全体の雰囲気で客をもてなす。

 「人、物、情報が集まる東京で学べたことで今がある」。上京を勧めた父の思いに感謝する。客の喜ぶ顔をやりがいに、きょうもすしを握る。(東京報道部・石川亮太)

 きんじょう・かずき 1983年、那覇市出身。首里高校から立教大に進学。卒業後にすし屋での修行や沖縄料理店長などを経て「築地寿司(すし)岩 総本店」で腕を磨いた。2月に東京都港区芝に「SUSHI KISARAGI」を開店。電話03(6809)3216。