伊良部島で車を走らせていると、ある看板が目に留まった。「ありがとう。人に優しくなれる天ぷらあります。」 手書きの看板を店前に設置している沖縄天ぷらの持ち帰り専門店だ。

出来たてでおいしい天ぷらとサタパンビン

伊良部島で沖縄天ぷらの持ち帰り専門店を開く手登根光彦さん=宮古島市伊良部国仲

出来たてでおいしい天ぷらとサタパンビン 伊良部島で沖縄天ぷらの持ち帰り専門店を開く手登根光彦さん=宮古島市伊良部国仲

 昨年9月、伊良部大橋開通前に地元でもある島に店を開いたのは手登根光彦さん(34)。店内でせっせと、天ぷらを揚げているのは母の千鶴さん(60)。揚げたてを提供するために売り場をあえて小さくしているのだという。

 手登根さんは以前、島内で移動販売のパーラーを開いていた。天ぷらは島のお祝い事や行事に欠かせない。母の天ぷらは近所の人にも大人気だった。多くの人に食べてほしいと、この場所に店を構えることにした。

 天ぷらは、魚と野菜、とり天、いもの4種。魚は島で捕れたシーラやマグロを使用。そのほか、人気を集めているのは紅イモのサタパンビン(サーターアンダーギー)。鮮やかな紫色の中身はもちもち、ふわふわした食感。評判も上々なのだという。天ぷらとサタパンビンはいずれも60円だ。

 伊良部産の黒小豆を使ったぜんざい(400円)もある。かき氷機にもこだわり、子どもたちにも人気なのだという。

 伊良部大橋開通前、観光客は年間8万人程度だと言われている。しかし、大橋開通以降、爆発的に観光客が島を訪れるようになった。島は大きく変化している。手登根さんは商工会の青年部副部長を務めており、将来の島のあり方を模索する日々が続く。「地元の人間が島で生活しやすいようにしたい。商売やっている僕ら若者たちがよい方向に持って行きたい」

 揚げたての懐かしい味が心もほっこりとさせてくれる。(宮古支局・新垣亮)