「店をやるまで、ウナギなんて食べたことなかったよ」。鰻作の店主、石垣真一さん(54)は笑う。1976年創業。石垣出身の父、真則さん(享年73)が那覇市首里石嶺町で始め、真一さんが約7年後に引き継いだ。道路拡張のため2013年12月に閉店したが、「新しい店はどこ?」「開店はいつ?」と問い合わせが絶えず、ことし7月10日、浦添市内に再オープンした。

ウナギの酢の物が付いた「うざく定食」(4200円)。

「レンジの高さが合わなくて高ゲタはいてるんだよ」と笑う石垣真一さん=浦添市の鰻作

鰻を焼いている様子

メニュー表

店の正面入口にある「ウナギの供養塔」

ウナギの酢の物が付いた「うざく定食」(4200円)。 「レンジの高さが合わなくて高ゲタはいてるんだよ」と笑う石垣真一さん=浦添市の鰻作 鰻を焼いている様子 メニュー表 店の正面入口にある「ウナギの供養塔」

 「当たり前と思ってやってることを、お客さんはこだわりだって言ってくれるのよ」。その一つが、創業当時から守ってきたタレだ。古酒(クース)を作る要領で仕次ぎを繰り返してきた。白焼きのウナギを何度も漬けるうち、タレにはウナギの脂が自然と溶け込んでいく。表面に浮いた脂は、網じゃくしで朝晩、丁寧にすくう。店を休んだ1年半の間は雑菌が入らないよう密閉。駄目にならないよう祈った。

 ウナギの焼き方は「ストレートに素材が出る」関西風。白焼きにした後、蒸し器に入れる作業をしないため、身や皮の固さがほとんど調整できず「ウナギ任せだよ」。メニューもうな重(3300円)、大蒲焼重(4800円)、ざるそばうな丼セット(2800円)など豊富だ。

 これまで国産ウナギを何十万匹とさばいてきた。首里の店から、父が建てた“ウナギの供養塔”も一緒に移築、店の正面に据えた。創業記念日の6月7日に、手を合わすと決めている。

 だが近年はシラスウナギの不漁や高騰と環境は厳しい。大量消費の果ての現状に「バブル後のここ何十年で、多くの人がウナギの食べ方を間違えた気がする」。忸怩(じくじ)たる思いを抱きながら、今日も命を料理している。(浦添西原担当・平島夏実)