泡瀬干潟の近く、少し歩けば東海岸の海と埋め立て地が見える場所に店はある。看板メニューは県産塩を使った塩ラーメン(650円)。「シンプルなだけにスープの味が如実に現れる。ごまかしがきかない味なんです」。店長の糸数俊司さん(30)が語る。

味付け玉子がトッピングされた塩ラーメン

ラーメン作りに掛ける思いをしたためた自筆の書が飾られている店内=30日、沖縄市泡瀬

味付け玉子がトッピングされた塩ラーメン ラーメン作りに掛ける思いをしたためた自筆の書が飾られている店内=30日、沖縄市泡瀬

 北部で農業を営む叔母から無農薬の野菜を仕入れ、キャベツやハクサイ、ニンニクといった数種類の野菜と豚骨、鶏ガラを9時間煮詰める。

 「煮込めば煮込むほどコクは出るが、煮込み過ぎると今度はエグミが出てくる」。煮込み時間の9時間は、うま味が凝縮しながら塩ラーメンならではの透明度のあるスープになるのを見極めて出した結果だ。

 トッピングも塩味に合うのを試行錯誤し、「沖縄をイメージさせ、塩との相性もいい」県産アーサに。スープを吸い込んだアーサは麺と絡まり、箸を進ませる。

 知人や友人をもてなす場所を持ちたいと2011年2月にオープンした。平日、調理場に立つ父親(58)と椅子やテーブルなどを手作りし、一から店のイメージを作り上げた。女性1人でも来店できるようにと、白と黒を基調にしたシックな内装に仕上げ、カフェのような雰囲気を演出。店内ではジャズが流れる。テーブル席の側には、「美味しいしあわせとみんなの笑顔のためにこころを込めてらーめん作りに日々精進」との決意をしたためた自らの書を飾る。

 目指すのはある日、ラーメンを食べた友人が口にした言葉をより多くの人に感じてもらうことだ。「塩のイメージが変わった」。みそやしょうゆ、豚骨といった他の味の中でも支持が少ないと感じていただけに、「何よりも一番うれしかった」と振り返る。「この塩ならまた来るよ」。この言葉を願い調理場に立つ。(中部報道部・仲田佳史)