第3次安倍再改造内閣がスタートした。改造についての論評はいろいろだが、事前の触れ込みとは大きく異なったとの印象を受けた方も多いだろう

▼骨格となる閣僚は留任させ、8人の初入閣組には過去の実績がよく分からない人もいる。入閣待機組のガス抜きをした、との評判である。看板とした「未来チャレンジ内閣」というより、守り重視の布陣という方がしっくりくる

▼“ズレ”は重要政策にもみえる。「アベノミクスを加速する」と力説するが、出てきたのは大規模な財政出動で、日銀の金融政策と合わせ新味はない。成長戦略を欠く現状では「未来への投資」ではなく、将来への借金のつけ回しでしょ、と言いたくなる

▼自民党は衆参で27年ぶりに過半数を獲得した。安倍首相はこれだけの得難い「資産」を何に活用するのだろうか。悲願の憲法改正に強い意欲を示し、実現のため早くも党内から安倍総裁の任期延長論も取りざたされる

▼多くの国民からすると、ちょっと待ってというのが率直な感覚であろう。子育てや老後の生活への不安、財政破たんの懸念は尽きず、解消は切実な願いである

▼会見で首相は「挑戦」と連呼していた。聞く人の安心感を得る狙いもあっただろう。実のところ、総裁任期延長と改憲に向けた自身の挑戦を鼓舞してはいなかっただろうか。(宮城栄作)