沖縄タイムスは2011年県内の十大ニュースを選定した。1位は、来年度から使用する中学校の教科書「公民」をめぐって住民や県教育委員会、文部科学省を巻き込みながら解決の糸口が見えない八重山の教科書問題。2位は原子力発電所の事故を含め未曽有の被害を出した東日本大震災の県内への影響、となった。3位は県民の心を深く傷つけた日米高官による問題発言。4位は鳩山由紀夫元首相が米軍普天間基地の移設先を名護市辺野古に回帰させた理由の在沖海兵隊の抑止力は「方便だった」と弁明した方便発言と続いた。5位には、5年ぶりの開催で過去最多の県系人らが母県・沖縄で絆を確認した世界のウチナーンチュ大会。要美優さんの支援・手術成功のうれしい話題も7位に入った。

東京書籍版を逆転採択した八重山地区3市町の全教育委員による協議。国は石垣、与那国2教育長が無効を申し立てた文書を根拠に「協議は整っていない」としている=9月8日夜、石垣市教育委員会

被災者支援の義援金を募る動きが県内でも多くあった=3月下旬、読谷村喜名・道の駅喜名番所

「メア氏発言」の謝罪に訪れたルース米駐日大使(左)に、険しい表情で着席を促す仲井真弘多知事=3月10日、県庁

米軍普天間飛行場移設問題について語る仲井真弘多知事(手前右)と一川保夫防衛相(同左)=10月17日、県庁

沿道の声援に応えながら行進するブラジル沖縄県人会のメンバーら=10月12日、那覇市・国際通り

沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる訴訟の最高裁判断を受けて会見する大江健三郎さんら

米国での手術に成功し、那覇空港で出迎えた同級生に笑顔を見せる要美優さん(右)=11月15日

日米地位協定の抜本的な改正を求め、気勢を上げる抗議集会の参加者=6月25日午後、北中城村立中央公民館

台風9号の大雨で冠水した農地を目の当たりにし、ぼうぜんとする農家やJA職員=8月6日、糸満市宇江城・真栄平南土地改良区

ゴルフの日本女子アマチュア選手権を制し、トロフィーを手に笑顔の比嘉真美子選手=6月25日、宝塚GC

東京書籍版を逆転採択した八重山地区3市町の全教育委員による協議。国は石垣、与那国2教育長が無効を申し立てた文書を根拠に「協議は整っていない」としている=9月8日夜、石垣市教育委員会 被災者支援の義援金を募る動きが県内でも多くあった=3月下旬、読谷村喜名・道の駅喜名番所 「メア氏発言」の謝罪に訪れたルース米駐日大使(左)に、険しい表情で着席を促す仲井真弘多知事=3月10日、県庁 米軍普天間飛行場移設問題について語る仲井真弘多知事(手前右)と一川保夫防衛相(同左)=10月17日、県庁 沿道の声援に応えながら行進するブラジル沖縄県人会のメンバーら=10月12日、那覇市・国際通り 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる訴訟の最高裁判断を受けて会見する大江健三郎さんら 米国での手術に成功し、那覇空港で出迎えた同級生に笑顔を見せる要美優さん(右)=11月15日 日米地位協定の抜本的な改正を求め、気勢を上げる抗議集会の参加者=6月25日午後、北中城村立中央公民館 台風9号の大雨で冠水した農地を目の当たりにし、ぼうぜんとする農家やJA職員=8月6日、糸満市宇江城・真栄平南土地改良区 ゴルフの日本女子アマチュア選手権を制し、トロフィーを手に笑顔の比嘉真美子選手=6月25日、宝塚GC

1 八重山教科書 見えぬ一本化

 教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)は8月23日、来年度から中学校で4年間使う教科書について、調査員(教員)の意見を排除し、無記名投票で「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版「公民」を県内で初選定した。しかし、十分な説明責任を果たさない協議会運営に、県内外から批判や反発が高まった。

 石垣市と与那国町の教育委員会は同書を採択。竹富町教育委員会は独自に教科書研究し東京書籍版を採択した。教科書無償措置法が地区内で同一教科書の採択を定めていることから、3市町は違法状態になった。

 文部科学省は協議会の選定結果を根拠に、竹富町に有償での教科書購入を促しているが、同町は独自の採択を堅持。一本化の見通しは立っていない。

2 東日本大震災 県内にも影響

 3月11日の東日本大震災は、巨大津波に加え、原発事故を引き起こし、人々の生活を一変させた。死者は1万5842人(21日現在、警察庁)、行方不明者は届け出があるだけで3475人と未曽有の大災害だった。

 沖縄県は旅費や宿泊施設、民間住宅借り上げなどを行い、被災者を受け入れ、支援してきた。1日現在、県内には829人(政府の復興対策本部事務局調べ)が避難している。

 自治会や県人会などの団体のほか、多くの県民が支援に動いた。募金活動やチャリティー、被災者の心のケア、ボランティア活動などを展開している。

 原発事故を受け、放射性セシウムに汚染された疑いのある腐葉土や牛肉が県内で流通。放射能への不安や影響が広がった。

3 日米高官が問題発言

 米国務省のケビン・メア日本部長(前駐沖縄総領事)=当時=が、米大学生に行った講義で「沖縄はごまかしの名人で怠惰(たいだ)」などと発言したことが3月、報道された。

 11月には、那覇市内で開かれた沖縄防衛局と記者との懇談会の席で、田中聡沖縄防衛局長=同=が米軍普天間飛行場移設に関わる環境影響評価書の提出時期について「犯す前に犯すと言いますか」と発言したことが明らかになった。

 日米両政府は両氏を更迭したが、県内では反発が強まり、県議会、県内市町村議会が沖縄差別発言に抗議決議。仲井真弘多県知事も強い遺憾の意を示した。

 繰り返される差別発言は日米政府の沖縄に対する真意を表していると、県民の記憶に刻まれることとなった。

4 「方便」発言 移設混迷

 米軍普天間飛行場の移設問題はことしも混迷した。2月、鳩山由紀夫元首相はインタビューで、首相在任中に移設先が名護市辺野古に回帰した理由を「抑止力」と説明したことについて、「方便と言われれば方便だった」と弁明。同発言によって、日米両政府が合意した辺野古移設の根拠の脆弱(ぜいじゃく)さがあらわになった。

 一方、政府は首相や関係閣僚が次々に交代する中にあっても日米合意堅持の姿勢を変えていない。一川保夫防衛相は10月の会見で、移設に伴う環境影響評価の評価書の年内提出を示唆した。

 政府は今月26日にも提出する準備を進めているが、県内各市町村議会が影響評価書の年内提出断念を求める決議を採択するなど反発は強まっている。

5 世界のウチナーンチュ集結

 「ちゅら島の 魂響け 未来まで」をキャッチフレーズに、第5回世界のウチナーンチュ大会が10月12~16日の5日間、那覇市奥武山の沖縄セルラースタジアム那覇を主会場に開催された。世界24カ国3地域と国内を含めて史上最多の7363人(前回比1・5倍)が参加。ルーツと故郷をたたえ、絆を確かめ合った。

 国境や言葉を超えたウチナーンチュが那覇市の国際通りを練り歩く前夜祭パレードを皮切りに、音楽や伝統芸能、スポーツ、経済交流など多彩なイベントを展開した。

 県内や海外の若者が熱論を交わした「グローバル次世代プロジェクト」で、若者ウチナーンチュ連合会(WYUA)が発足。県は次世代の交流を促進する「万国津梁基金」創設を決めた。大会は5年ぶり。

6 「集団自決」軍関与の判決

 沖縄戦時に慶良間諸島で相次いだ「集団自決(強制集団死)」をめぐり、住民に命令を出したとする「沖縄ノート」などの書籍で名誉を傷つけられたとして、日本軍の元戦隊長らが、著者の大江健三郎氏と発行元の岩波書店に出版差し止めなどを求めた訴訟で、最高裁は4月21日、元戦隊長側の上告棄却を決定。日本軍の「集団自決」への関与を認め大江氏側が勝訴した一審、二審判決が確定した。

 同訴訟は、2006年度の高校歴史教科書検定で、日本軍が住民に「集団自決」を強制したとの記述が認められなかった理由にもなった。

 検定意見をめぐっては、県と市町村の全議会が記述回復を求めた意見書案を可決。07年9月には、検定意見撤回を求める11万人規模(主催者発表)の県民大会も開かれた。

7 要美優さん 元気に帰沖

 拘束型心筋症を患った要美優さん(13)=浦添市立神森中2年=が11月15日、米国での心臓移植手術を終えて帰沖した。那覇空港で出迎えた同級生や支援者に元気な姿を見せ、県内外からの寄付やドナーの家族に「恩返しのつもりで頑張りたい」と感謝した。

 移植手術に必要な費用を賄うため、両親は2010年12月に記者会見を開いて寄付を呼び掛け、「美優ちゃんを救う会」が募金活動を開始。同世代の子どもたちや保護者らが街頭募金に参加し、企業からの寄付、チャリティーイベントが県民の間に広がった。

 目標の1億5200万円をわずか45日間で突破。美優さんは11年4月5日、米ニューヨーク州へ渡り、20日後に無事手術を終えた。

8 地位協定 運用改善

 ことし1月、米軍属男性が沖縄市内で起こした交通事故のため、與儀功貴さん=当時19歳、北中城村出身、愛知県在住=が亡くなった。與儀さんは成人式出席のため帰省中だった。那覇地検は、軍属が公務中で日米地位協定上、米側に第1次裁判権があるとして不起訴にした。

 遺族らは、地位協定の不平等さと抜本的な改正の必要性を訴え、署名活動などを展開。那覇検察審査会は、起訴相当を議決した。

 日米政府は11月、軍属による公務中の事件・事故でも、例外的に日本で裁判できるよう地位協定の運用改善で合意。那覇地検は自動車運転過失致死罪で軍属を起訴した。ただ地位協定の改正には至らず、県民世論との溝は埋まっていない。

9 台風7個 生活直撃

 ことし沖縄地方を通過した台風は7個。風台風や雨台風、ゆっくりした速度で本島地方を丸2日間暴風域に巻き込むなど、特徴の異なる台風が襲来した。

 海上輸送が寸断され、広範囲での長時間停電や電話・通信障害、浸水被害などライフラインへの影響も大きく、県民生活を直撃した。また、電源が必要な医療機器を抱えての避難など、治療・療養者の不安も浮き彫りにした。

 5月の台風2号は、農水産業の被害が70億6千万円に上り、統計をとり始めた1977年以降、被害額が初めて70億円を超えるなど甚大な爪痕を残した。

 また、台風が週末や祝日に集中したことで、イベントが中止や延期になるなど二次被害も出た。

10 スポーツ界 若い力

 スポーツ界では高校・大学生の活躍が光った。ゴルフの日本女子アマチュア選手権(6月)で比嘉真美子選手(本部高)が優勝し、アマ日本一となった。

 全国高校総体(7・8月、北東北)では、カヌーの大城海輝選手(沖水)が2冠。レスリングの与那覇竜太選手(浦添工)は県勢24年ぶりの栄冠に輝いた。女子陸上円盤投げの知念莉子選手(那覇西)や重量挙げの平良勇祐選手(南部工)も優勝した。

 国体(10月・山口)でもライフル射撃の新里江平選手(糸満)が連覇、ハンドボール少年男子も優勝し、沖縄の目標だった30位台達成(39位)に貢献した。

 東都大学野球で東浜巨投手(沖尚高出、亜大)が通算17完封のリーグ記録を樹立。優勝と最高殊勲選手に輝いた。

次点 
負の遺産 今もなお
不発弾・枯れ葉剤

 戦争が残した負の遺産、不発弾などは戦後66年たったことしも県民生活に深い影を落とした。

 9月、南風原町のサマリヤ人病院で避難困難な重篤患者や付き添いの医師ら285人を院内待機させたまま不発弾処理が行われた。

 避難困難者がいる病院や福祉施設への対応指針がないなど問題が表面化。県内市町村議会からも補償を求める意見書が相次ぎ、国は避難困難者の避難確保に掛かる経費を全面的に支援することを決めた。

 11月には、那覇市壺川で見つかった戦後製造の不発弾は自衛隊の処理対象外のため、処理方法が定まらないなど、不備があらためて明るみに出た。

 一方、復帰前に米軍が枯れ葉剤を散布したとの証言や埋めたとの情報も表面化した。

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