島の豊かな自然にはぐくまれた力が、世界の舞台で花開いた。

 リオデジャネイロ五輪の重量挙げ男子62キロ級で、南城市出身の糸数陽一選手(25)が、4位入賞を果たした。日本記録を16年ぶりに塗り替えての快挙である。

 3位との差は3キロ。「もうちょっとでメダルに手が届いた」と悔しさをにじませたが、メダルの輝きに負けないくらいの感動を県民に届けた。世界を相手に見せてくれた最高のパフォーマンスに大きな拍手を送りたい。

 糸数選手はバーベルを一気に持ち上げるスナッチで133キロ、肩の高さでいったん止めて持ち上げるジャークで169キロをマーク。これまでの記録を2キロ上回る302キロの日本新を打ち立てた。

 県民の誰もが興奮したように、体重の2倍は優に超える重いバーベルを持ち上げる力と技術、集中力は見事というしかない。

 糸数選手は小中学校時代を周囲8キロの小さな島、久高島で過ごした。中学の担任の先生に才能を見いだされ、重量挙げの道に進んだ。島中を走ったり、海で泳いだり、自然の中で鍛えられた強さが、今へとつながっている。

 五輪直前の6月に久高島を訪ねた際、島の拝所で大会の無事を祈り、島民の激励を受けた。

 孫のようにかわいがってくれた「島のおじい、おばあ」や「にーにーと慕ってくれる子どもたち」の喜ぶ顔がモチベーションになったという。

 人口250人余の小さな島から世界へと羽ばたく、郷土のヒーローの誕生だ。

■    ■

 「重量挙げ王国」と呼ばれる沖縄は、ロサンゼルス五輪で5位となった平良朝治さんをはじめ計6人の重量挙げ五輪選手を送り出している。

 今回、県勢として最高位となる4位入賞を果たした糸数選手が見据えるのは東京五輪でのメダル獲得。リオの経験が大きなステップとなることは間違いない。

 県内には糸数選手を追いかける若い選手が何人もいる。快挙が刺激となって「五輪でメダルを」と決意した子もいるかもしれない。

 4年後の東京では県勢の活躍を生で見ることが今から楽しみである。

 課題は重量挙げの専用施設など若い才能を伸ばしていく環境面の整備だ。特に県内の大学では取り組みの遅れが指摘されている。競技人口を増やすなどすそ野拡大にも力を入れる必要がある。

 王国を支える後押しを県に求めたい。

■    ■

 リオ五輪4日目の時点で日本が獲得したメダルは金3、銅7の計10個。

 この日はエース内村航平選手を擁する体操男子が団体総合でアテネ以来3大会ぶりとなる金メダルを手にした。

 柔道では男子73キロ級の大野将平選手が金に輝いた。

 「お家芸復活」に早朝から日本中が歓喜に沸いた。

 リオ五輪はブラジルとの時差の関係で深夜や早朝の競技が多く、しばらく寝不足の日が続きそうだ。

 超人たちの熱い戦いから目が離せない。