これが全員でつなぐ「嘉手納ロータリー打線」だ。1―3の七回表、打者12人で5連続を含む長短9安打を集め、8点を奪って逆転した。点を重ねるたびに満員の嘉手納アルプスが沸き、聖地に指笛が響いた。春夏通じて甲子園初勝利を挙げ、大蔵宗元監督は「中盤以降は持ち味を出せた。バットを短く持って食らいつく姿勢が出た」と大きくうなずいた。

7回表、逆転のホームインで仲間と喜ぶ仲井間光亮(右)=阪神甲子園球場

 流れを引き寄せる逆転打を放ったのは、4番知花拓哉捕手だった。三回裏の守りでは、二塁へ悪送球してピンチを広げた。「自分たちのミスで点を取られ、(仲地)玖礼に申し訳ない。エースを助けたい」。無死満塁で回ってきた4度目の打席。3ボール1ストライクのバッティングカウントで内角低めの直球を強く振り抜き、左前への2点適時打を放った。試合を執念でひっくり返した。

 一度火が付いた打線は止まらない。春まで4番だった8番大城堅斗、この回2打席目の9番新垣和哉の適時打で2点を追加。さらに2死満塁で1番幸地諒承が走者一掃の左越え3点二塁打を放ち、試合を決めた。

 「打ちつなぐ野球」を目指してきた。19安打中、長打は2本のみ。17本は単打だった。左右4投手を送り込んだ前橋育英の荒井直樹監督は「強力打線を抑えられなかった。単打でつながれると、長打以上に迫力を感じた」と脱帽した。知花は「一人が打つと全員が打てる。格上の相手だったが、自分たちの野球で勝ててよかった」と顔をほころばせた。大観衆を魅了した嘉手納の挑戦はまだ始まったばかりだ。

(我喜屋あかね)