65歳以上の高齢者の貧困が深刻な広がりを見せている。

 ことし6月に、県内で生活保護を受給した世帯は2万7269世帯。そのうち高齢者世帯が1万3604世帯に上り、全体の50・1%と初めて半数を超えた。

 完全失業者数が73カ月連続で減少(6月現在)するという雇用環境下で近年、現役世代の生活保護受給は減っている。一方、目立つのが高齢者の増加だ。

 全国でも3月、高齢者世帯が初めて受給世帯全体の半数超となった。就労による収入改善を見込めないなど高齢者の特徴を見れば、今後、この割合が減少することはないだろう。全国では4月51・1%、5月51・2%と増え続けている。

 生活保護を受給する高齢者に特徴的なのは、9割が単身世帯という点だ。寿命の伸びに伴い、貯蓄をはじめとする生活の備えを最期まで万全にすることは難しくなった。そんな高齢期を支えるはずの公的年金は、十分でないという現状がある。

 多くの国民年金受給者が加入する老齢基礎年金の支給額は、40年間加入で1人当たり月6万5千円程度だが、これだけで単身世帯の家賃や生活費を賄うのは困難だ。

 県内ではさらに、米軍統治期間の年金政策の空白により、加入期間の不足や未加入による低年金・無年金者の多さが高齢者の困窮に拍車を掛けているとみられる。

 高齢期の貧困は、健康状態の悪化や孤独死などに直結しかねない。戦後の社会保障政策の不備など、沖縄独自の課題もあることを鑑みれば、県や自治体は、生活保護を受給する高齢者の実態と、年金支給額とのかかわりについて調べる必要がある。

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 国の年金改革は、高齢者の貧困拡大を防ぐ重要な手立ての一つだが、専ら抑制策に重点が置かれている。

 厚生労働省は5日、2014年度の年金支給額が初めて前年度を下回ったことを明らかにした。要因として厚生年金の支給開始年齢の引き上げと、物価の下落と年金額を連動させない特例水準の解消を挙げる。

 しかしこうした支給の抑制策だけでは、改革というにはあまりに不十分だ。高齢世帯の6割が年金収入のみで生活しているという現状で、厚生年金の支給開始年齢の引き上げは会社員の退職後の無収入に直結する。加えて特例水準の一律解消は、老齢基礎年金受給者厚生年金などに比べて元々支給額が少ない国民年金受給者のさらなる受給減につながっている。

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 加入期間に数十年を要し、収めた金額に応じて支給する社会保険方式の現行制度は、戦後、人口や国民所得が右肩上がりで増えたからこそ機能していた。

 しかし、少子高齢化・非正規雇用の増大・ワーキングプアなどこの間の社会構造の変化は、いまや保険料を納付できない世帯の増大など年金制度の「空洞化」を招いている。

 生活保護の受給世帯の半数を高齢世帯が占める現状は、高齢期の所得保障を目的とした公的年金制度が、もはや機能不全に陥っていることを示している。改革は待ったなしだ。