仕事柄、さまざまなニュースに接するが、腑(ふ)に落ちないことも多い。7月の参院選で落選した島尻安伊子・前沖縄担当相を、政府が内閣府の大臣補佐官として起用を検討しているのもその一つだ

▼島尻氏は担当相を10カ月務めた。現行の沖縄振興特別措置法の案策定などに関わり、子どもの貧困対策事業の予算を確保した。与えられた職務を懸命に取り組む姿勢は多くが認める。官邸からの信望も厚い。実績を並べても、「なぜ、島尻氏なのか」という疑問は払拭(ふっしょく)できない

▼名護市辺野古の新基地建設問題では、強硬姿勢を示した。市民の抗議行動を「責任のない市民運動」と批判し、「政治として対峙(たいじ)する」と述べて、強い反発を招いた

▼担当相時代は、新基地建設を巡って政府と裁判で争っている翁長雄志知事の政治姿勢が、沖縄振興に影響があるかを問われ、「全くないとは言えない」という見解を示した

▼政府は基地問題と振興策が関連する「リンク論」容認に方針を転換した。「リンク論」を容認したことがある前大臣が振興策にどう助言するつもりだろうか

▼沖縄振興に取り組みたいという強い意欲はあっても、参院選で10万余りの票差で大敗したという現実からは逃げられない。政治家であれば、東京ではなく、厳しい審判を下した有権者の声に耳を傾ける県内行脚が先だ。(与那原良彦)