沖縄の仏壇・仏具が、多様化する住まいや価値観に合わせて変化している。昔ながらの大きな仏壇や瑠璃色の御香炉(ウコール)のほかに、マンションになじむ洋風で小ぶりの仏壇や琉球ガラスのウコールが登場。仏壇・仏具に故人の人柄を投影したり、生前に自分の好みでそろえたりする人も出てきた。仏壇・仏具から沖縄の暮らしの移り変わりが垣間見える。(学芸部・榮門琴音)

従来の陶器の仏具

壺屋焼の仏具

琉球ガラスの仏具

従来の陶器の仏具 壺屋焼の仏具 琉球ガラスの仏具

 那覇市樋川の通称「仏壇通り」にある、仏壇・仏具を製造・販売する照屋漆器店では、沖縄の伝統的な仏壇のほかに、10年ほど前から「モダン仏壇」を取り扱っている。

 沖縄の昔ながらの仏壇は、比較的大きい「5尺」サイズだと幅150センチ、高さ190センチ。一方、モダン仏壇は幅50センチ、高さ140センチとコンパクト、かつ洋間にもなじむデザインだ。

 同店7代目の照屋慎さん(37)は「10年前は物珍しさがあったが今はそうでなくなった。若い人はモダン仏壇を選びに来る」と話す。

■集合住宅暮らし

 背景にあるのが住環境の変化だ。都市部以外ではまだ大きな仏壇の需要があるが、都市部では居住空間が限られるマンションやアパートで暮らす人が増え、大きな仏壇が置けないからだ。

 仏壇の変化に合わせ、仏具も変化してきている。数年前から、色鮮やかな琉球ガラスのウコールや土の温かみのある壺屋焼のウコールが登場。琉球ガラスのウコールはモダン仏壇にもなじみ、壺屋焼のウコールは二番座の大きな仏壇に新たな雰囲気を醸し出す。

自分好みで選択

 一般的な陶磁器製の瑠璃色のウコールは湯飲みや杯など一式そろえて1万8千円ほどだが、琉球ガラスや壺屋焼の一式は8万6千円ほど。瑠璃色は県外での大量生産で価格が抑えられているが、琉球ガラスや壺屋焼は一つ一つ職人の手作りで時間もかかるからだ。

 「これまではほぼ瑠璃色の選択肢しかなかったが、仏具もできれば沖縄の人の手で作ったものにしたかった。地域の産業に利益が還元できるならなおさらよい」と照屋さん。高価だが希少性もあって人気という。

 漁師だった故人をしのび、海をイメージした青色の琉球ガラスのウコールを選ぶ人もいたという。離れて暮らす子どもに仏壇の相談をする機会がなく、生前に自分の好みで選んでおく人も増えた。多様化する価値観や家族の形に合わせ、選択肢も広がっている。

 照屋さんは「沖縄の大切な心、いいところを残すために、仏壇・仏具も変化させて価値あるものにしていきたい」と語った。