リオデジャネイロ五輪のメダルラッシュを楽しんでいる。同時に、12年前に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件を思い出し、何とも言えない気持ちもこみ上げてくる

▼米軍の大型ヘリが墜落したのは2004年8月13日。黒こげでぐしゃぐしゃの機体、住宅地に飛散した部品と校舎のコンクリート片…。大学を占領する米兵とけんかしながら現場を走った。しかし本土では、同日開幕したアテネ五輪報道がヘリ墜落をかき消した

▼当時の小泉純一郎首相は「夏休み中」を理由に稲嶺恵一知事の面談要請を拒否。一方、記者とテレビカメラの前でメダリストに祝福の電話をアテネへかけ、悦に入る姿が全国に流れた

▼ヘリ墜落へのコメントは一切ない。取り囲む記者も質問しない。両者が結託したかのように「黙殺」し、無視を決め込む光景を思い出すと今も心拍数が上がる

▼あれから12年の13日、墜落現場で開かれた沖国大主催の集会の集まり具合は芳しくなかった。前津榮健学長は「人数の多少にかかわらず発信し続けないと『なかったこと』にされかねない」と危惧する

▼為政者は都合の悪い歴史を「なかったこと」にしようとするが、沖国大墜落は発生時でも「なかったこと」のように扱われた。米軍機は墜落など「なかったこと」のように、今も県民の頭上をかすめ飛んでいる。(磯野直)