キャラクターに魂を吹き込む原画制作を、30年以上に渡って続けている。携わった作品は「シティーハンター」「イナズマイレブン」「ルパン三世」などの人気作品ばかり。パソコンを使った作画が増える中でも、こだわるのは鉛筆を使った手書きだ。「アニメはどんなテーマでも、見る人の心のハードルを下げてくれる」と、アニメーションが持つ可能性を追求し続けている。 

「技術の追求に終わりはない」と話す久高さん=9日、都内の自社オフィス

 幼いころから漫画や特撮ヒーローものが好きで良く模写をしていた。当時は「仮面ライダー」や「アルプスの少女ハイジ」など名作がそろう時代。娯楽の中に織り込まれた社会へのメッセージや人間の悲哀など、大人が真剣に作る作品に影響を受け、いつしか「自分もこういうものを作ってみたい」と思うようになった。

 転機となったのは高校2年の秋。父親が居酒屋で偶然隣り合わせたのが世界名作劇場「あらいぐまラスカル」を手掛けた遠藤政治監督だった。当初、アニメ業界入りに反対だった父親に呼び出された。

 自らの言葉で二人に切々とアニメへの熱意を語った。すると監督が父親に一言。「子供が本気だと言っている。親なら信じてあげるべきでは」

 卒業を待たずにアニメ業界へ。アシスタントで修行を重ね、さまざまなアニメ作品にかかわった。そこで先輩からしつこく指導されたのが、「空想で描くな、リアルに描け」という教えだ。人間の動きや小道具を正確に表すために、時には解剖書やピストルの本など、さまざまな資料を購入して、調べあげる。1カットを描くのに2、3日かかることも。「常に向上を目指す。そのためには探究心が必要だ」

 2年前に独立、外国からの制作依頼を受けるなど、仕事の幅は広がる。「いつかは沖縄の風物を題材とした作品を描きたい」と瞳を輝かせた。(小笠原大介東京通信員)

 久高司郎(くだか・しろう) 1965年那覇市生まれ。中学1年で東京に移住。高校中退しアニメーターに。原画や作画監督として、「イナズマイレブン」「ポケットモンスター」「妖怪ウォッチ」など人気作に関わる。BANG BANG ANIMATION代表。元那覇市長の故兼次佐一氏は祖父。