沖縄地方最低賃金審議会は、県内の最低賃金を時給714円とする決定を沖縄労働局に答申した。現行の693円より21円引き上げられる。引き上げ率は3・03%。県内最低賃金としては初めて700円台に乗る。10月1日に発効される見通しだ。

 最低賃金は、正社員だけでなくパートやアルバイト、派遣社員などすべての労働者に適用される賃金の最低額だ。労働者のセーフティーネットとなり、これを下回る企業は罰せられる。

 有識者と労使代表でつくる中央最低賃金審議会の小委員会が、地域経済の実情に合わせて都道府県をA-Dの4段階に分け、改定の目安をまとめる。それをもとに地方の審議会が都道府県ごとの最低賃金を決める仕組みだ。

 沖縄の審議会では、労働者側が当初、22~27円増を主張。一方の経営者側は、経営状況の厳しい県内の中小企業の実態を考慮すべきだとして6円増を主張していた。6度の審議で21円(労働者側)対20円(経営者側)にまで歩み寄ったが結論が出ず、最終的には出席委員の多数決で、中央の目安額通りの決着となった。

 最低賃金の動向は、非正規で働く人への影響が大きい。非正規労働者は今や労働者全体の4割を占め、その実態も、学生や主婦らが家計の補助で働く事例に加え、家計を支える世帯主自身が非正規労働者だというケースが増えている。

 厳しい状況に置かれた労働者の生活の底上げのためにも着実な実施を求めたい。

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 一方、最低賃金引き上げは、体力の弱い中小零細企業には人件費の負担増となり、経営を圧迫しかねない。引き上げに対応したことで、雇い止めや倒産につながっては元も子もない。

 政府は2日に決定した経済対策で、最低賃金引き上げに向けた中小企業への支援措置の推進、拡充を盛り込んだ。実効性ある施策が必要だ。

 最低賃金改定については企業側から時期の変更を求める声もある。官公庁のビル清掃を請け負う県ビルメンテナンス協同組合は、年度途中に最低賃金が引き上げられると、年度末までその分の従業員給与を企業側が工面しなければならず、負担が大きいと訴える。

 官公庁側は「引き上げを見越した額で入札してもらうしかない」との見方だが、人件費の占める割合が高く影響は大きいという。企業にも労働者にもより良い方向へ改善できないか、行政も知恵を絞ってほしい。

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 今回、中央の審議会は最低賃金を全国平均で24円引き上げるよう求める目安を答申した。現行方式で最大の上げ幅となった背景には、最低賃金を年3%程度引き上げ、全国平均千円を目指す、とした安倍晋三首相の意向がある。

 ただ、目安通りに引き上げられたとしても全国平均822円で千円にはほど遠い。最も高い東京と、最も低い沖縄など4県との差は現在で214円。16年度はさらに4円広がりそうだ。地方の賃金をどう底上げし、格差を埋めるかの議論も求められている。