世界中で現在4600万人とされている認知症の人が2050年には日本の総人口に匹敵する1億3千万人になるといわれているなか、わが国の認知症高齢者の数は、その予備群の方を含めると世界に類を見ない800万人という時代を迎えています。沖縄県では15年3月末で、介護保険の要介護・要支援認定者のうち、認知症の人は約4万人で、65歳以上の高齢者の約14%(全国平均約10%)です。この数を見ると、今や認知症は誰もが関わる身近な病気であることを強く認識する必要があります。

 厚生労働省では、25年に団塊の世代が75歳となり認知症の人たちが急増すると予想される時期を見据えて、15年1月に「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)を発表しました。この沖縄でも実践されていることをご存じでしょうか? この施策の目標は「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」です。この実現のために、県では地域型認知症疾患センター(認知症に対する専門医療の提供、地域連携の強化、情報センターの役割)に加え、6月からより専門的な医療の提供を目指した基幹型センターとして琉球大学病院で、離島の認知症医療の強化を目的に診療所型センターが宮古島で開設されました。

 今後は、これらのセンターが各市町村や介護福祉分野の方々をはじめとした多職種連携を行い、認知症医療の充実に向けかじを取るわけですが、一つ大切なキーポイントがあります。それは住民の方々の認知症に対する理解度の向上と支援、協力です。

 前述した厚労省施策の目標を読み返してみてください。文字では簡単に書けますが、現実として認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けるには、多くの障壁があり、家族だけの努力ではその夢はかないません。またその対応方法を間違えると逆にその進行を進めてしまうこともありますし、薬物療法に重きを置き過ぎると認知症の症状は改善しません。認知症サポート医としてその治療の中で確信できたことは、「人」と「人」とのふれあいの中から認知症の治療が始まり、それは大抵、薬物療法を超えるということです。

 日本電産創業者の永守重信さんが言われた言葉をアレンジしてみますと、「(医者)1人の100歩より(住民)100人の1歩」がちょうどこれからの認知症治療の指針として当てはまるように思うのは私だけでしょうか。より多くの住民の方の支援を期待します。忘れないで、あなたも主役です。(竹井太 県認知症疾患医療センターうむやすみゃあす・ん診療所)