八重瀬町の体育館に8集落から集まった棒術実演家50人は、互いの力量を値踏みする視線を交わし合った。険悪だったと語る人もいる。2014年5月、町の多彩な民俗芸能を伝える15保存会の合同公演「やえせの民俗芸能」(同7月、国立劇場おきなわ)に向けた初稽古の場だった。

誇り高い棒術の実演家の心と心を束ねた「棒巻」=2014年、国立劇場おきなわ(八重瀬町提供)

国立劇場おきなわ公演で舞台に上がる出演者ら。同劇場によると出演総数約380人は同劇場の過去最多記録とみられる=2014年(八重瀬町提供)

誇り高い棒術の実演家の心と心を束ねた「棒巻」=2014年、国立劇場おきなわ(八重瀬町提供) 国立劇場おきなわ公演で舞台に上がる出演者ら。同劇場によると出演総数約380人は同劇場の過去最多記録とみられる=2014年(八重瀬町提供)

 まとめ役を担った東風平棒術保存会の事務局長、玉城義彦さん(53)は重い空気をこう解説する。棒術が盛んな八重瀬。15保存会中、10団体が伝えるが構えや型は違う。「先輩から受け継ぎ、愛着深い自分たちの棒術こそ一番、という自負心がぶつかり合った」

 ムードは「棒巻」の稽古で変わった。実演家らが同心円状に舞台を巡り、中央で棒を束ねるように掲げた棒を威勢良く打ち合う演目。続けて各集落固有の組棒を見せる。日常から若者が祭事に集い、活気を得てムラににぎわいを運ぶ-という農村の営みが浮かぶ構成が、心を一つにした。

 公演全体では富盛の唐人行列や女性の祭祀舞踊・安里のウフデークなど町無形民俗文化財をはじめ、幅広い民俗芸能を約1時間半に凝縮。主に同じ旧暦の日時に異なる集落で演じることから、顔を合わせる機会が少ない実演家380人が一斉に同じ舞台を踏む初の試みは、ことし合併10周年を迎える町ぐるみで伝統を紡ぐ一体感を生んだ。

 今回、25、26両日の「豊年-HOU NEN-」公演でも本来、一つずつしか見ることのできない演目が日替わりで一堂に会する。棒術も再び8集落一緒に演武する。玉城さんは「興味を持った観客が地元祭事にも来てくれれば後継者が芸を磨く励みになる」と力を込める。八重瀬の民俗芸能の裾野は人々の目を集め、広がり続ける。(南部報道部・堀川幸太郎)

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 八重瀬町の芸能公演「豊年-HOU NEN-」は那覇市久茂地のタイムスビル3階のタイムスホールで25、26の両日午後3時開演。開場は30分前。入場料は1500円で物産展で使える500円券が付く。問い合わせ、チケット販売は八重瀬町観光振興課、電話098(998)2344、沖縄タイムス社文化事業局、098(860)3588。