国策、補助金、アメとムチ…。聞き覚えのある言葉が並んでいた。しかしそれは、沖縄で最近起きている出来事ではなく、71年以上前のこと

▼先日、NHKスペシャルを見た。新たに発見された資料を基に、長野県の貧しい小さな村で、旧満州(中国東北部)への開拓移民として27世帯95人が送り出されたことを取り上げていた

▼食糧増産や支配強化を狙った移民政策。国策推進へ国の役人は地方の役人に、移民を送れば農道や水路建設の補助金を出すとハッパを掛ける。アメとムチだ。村長は自ら村人を説得し移民として送り出した

▼沖縄の米軍基地問題と似ている。普天間飛行場移設に伴う新基地建設は国策。その国策を推進するため、基地と振興策のリンク論が閣僚の口から初めて出た。アメとムチ。移民政策と変わらぬ構図

▼旧満州にソ連軍が侵攻、現地の中国人から家を出され、行くあてもなくなった村人は大半が「集団自決(強制集団死)」した。自責の念にかられた村長は自殺。だが国の役人は責任を取らないどころか、戦後「今でもいいことだと思う」とうそぶいた

▼番組は「1度動きだした国策が見直されることはなく、人々を追い詰めていった」と締めている。しかし人々の意識は変わった。金より命、住む環境が大切だと。アメとムチの国策はもう無理だ。(玉寄興也)