米軍も沖縄防衛局も、米国防総省予算による工事だから地元に事細かく説明する必要はない、と思っているのだろうか。
 住民生活への影響が避けられない工事であるにもかかわらず、工事の概要や改修後の使用計画などについて、伊江村への事前説明はなかった。
 使用機種や訓練の形態、頻度、周辺の環境に与える影響など、肝心なことを情報開示しないまま一方的に工事を始めるのは、地位協定という特権にあぐらをかいた地元軽視の対応というしかない。
 伊江島補助飛行場で22日から、強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯の改修・拡張工事が始まった。面積を現在の約2倍の10万7140平方メートルに、長さを2倍超の約867メートルに拡張し、ジェット噴射に耐えられるように耐熱特殊コンクリートで強化する。
 来年1月から垂直離着陸が可能な海兵隊仕様のステルス戦闘機F35Bが山口県・岩国基地に配備されることになっている。伊江島の着陸帯は、普天間飛行場所属のMV22オスプレイだけでなく、F35Bの着艦訓練にも使用されるはずだ。
 伊江村議会は昨年3月、F35Bの訓練や飛行場の補強工事に反対する意見書を全会一致で決議している。オスプレイによる騒音被害や、物資投下訓練の際のドラム缶の誤投下など、訓練に伴う事故や被害は枚挙にいとまがない。
 住民の不安に応えるためにも県は、米軍や防衛局に早急に事実確認をすべきだ。「運用に関することは答えられない」で済む話ではない。
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 伊江島での着陸帯の拡張工事は、本島北部で進められている基地の整理・統合・再編と連動しており、全体的な構図を知ることが欠かせない。
 米海兵隊の報告書「2025戦略展望」によると、米軍はF35の使用を想定し、キャンプ・ハンセンとキャンプ・シュワブにまたがる中部訓練場の飛行訓練空域の制限を見直し、特別空域を再設定する方針だ。復帰の際に合意された基地の使用条件(5・15メモ)の見直しにつながる重大な変更である。
 名護市辺野古の新基地建設、東村高江で進む老朽化したヘリパッドの移転・新設工事、伊江島での着陸帯の拡張工事。北部の基地は今、復帰後最大の「目覚ましい変化」(「戦略展望」)を遂げつつある。
 問題は、老朽化した施設の更新と、新基地への新たな機能付与、訓練機能の高度化によって地域住民の負担増を招いていることだ。
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 名護市辺野古、東村高江、伊江村西崎・真謝、宜野座村城原などの住民にとっては、特にそうである。抑止力を前面に掲げた基地の「機能強化」が重視され、「地元の頭越しには進めない」という政府の当初の基本姿勢は完全に吹っ飛んでしまった。
 十分な情報開示もないまま、形だけの説明会や不十分な環境調査でお茶を濁す。県外の機動隊を大量に投入して連日、住民を強制排除し、ヘリパッド工事を強行する。
 日米の密室合意を可能とする住民不在の地位協定が諸悪の根源だ。