教員試験の公平性に疑念が生じている。

 7月に実施された県の教員採用1次試験で、中学校と高校の英語リスニング問題が、市販問題集と酷似していたことが分かった。

 引用したのは旺文社が発行するリスニング問題集。

 18問ある採用試験のリスニング問題中8問の内容が問題集とよく似ていた。昨年の試験では18問中13問が酷似している。

 登場人物の名前や一部表現を変えたもののほか、一字一句たがわない内容の出題も多く、「丸写し」といっていいほどである。

 公表された著作物を試験問題に使うことは法的に問題はない。しかし特定の市販問題集から複数年にわたり、多数の問題を引用となれば、話は別だ。試験の公正さが損なわれかねない。

 事実、一部の受験生の間ではこの問題集から集中して出題されるとのうわさが広まっていた。教員試験対策の予備校関係者も出題傾向を知っていた。

 事前に問題を解いた受験生と、そうでない受験生との間で差が出るのは当然だ。

 なぜ2年にわたって同じ問題集から集中して出題したのか。教員の能力を測る上で適切な内容だったのか。それ以前はどうだったのか。

 いずれにしてもチェック体制の甘さは否めない。

 県教育委員会は問題作成の過程を速やかに調査し、事実関係を受験生と県民に知らせるべきだ。

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 昨年の教員採用試験で中学英語は217人が受験し合格は19人、高校英語は123人が受験し合格は5人という、かなりの狭き門だった。

 今年は1次試験の段階で中学が223人中22人、高校はは121人中8人が合格している。最終の発表は10月下旬である。

 昨年の合格者の平均年齢が30歳近いことが物語るように、教員は人気の高い職業で、2度、3度と採用試験に挑む人が多い。

 死にものぐるいで勉強し臨んだ試験が、同じ市販問題集からの大量出題だったと知り、憤慨している受験生もいるだろう。その出来が合否に影響したとしたらなおさらである。 

 昨年、熊本市教育委員会は小学校教員採用の1次試験で市販問題集からの引用が分かり、引用を除く問題で判定し直し30人を追加合格させた。

 県教委も受験生の疑念に応える対応を早急に示すべきだ。併せて市販問題集からの引用について、他教科も含めた指針が必要だ。

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 2007年の教員採用試験で143人の追加合格者を出す前代未聞の採点ミスがあったことを思い出す。

 単純な採点ミスの背景にあったのは、チェック体制の不備と職員の意識の問題だった。追加合格者を出したことで、その後の合格者数が抑制されるなど問題は尾を引いた。

 「前例踏襲主義のあしき伝統を断ち切る」。当時の県教育長は口にした。

 その反省は生かされているのか。