米軍北部訓練場のヘリパッド建設に抗議する市民に、連日負傷者が出ている。東村高江に大量派遣されている機動隊との衝突が原因だ。22日には2人負傷。24日も72歳の女性が救急搬送された。

 けがをした市民の多くは抗議活動に参加する高齢者だ。年齢を鑑みると、屈強な機動隊員との衝突は命がけの行為と言っても過言ではない。人口わずか150人程度の高江地区で、そうした市民たちを機動隊員が数百人規模で取り囲み、力ずくで排除する様子は異様だ。全国を見渡しても、いったい沖縄以外のどこにこのような光景があるのか。

 7月、この機動隊の派遣を6都府県公安委員会に要請したのは県公安委だった。昨年の辺野古への派遣に続き2度目の要請。辺野古では100人規模だったが、今回は少なくとも5倍にあたる500人に増員された。

 大勢の機動隊員を何のために派遣するのか。辺野古でも高江でも、公安委がその理由を県民に説明したことはない。しかし機動隊員とのもみ合いで市民に負傷者が発生している。これだけの規模なら派遣費も膨大なはずだ。公安委には説明責任がある。

 派遣された機動隊員が対峙(たいじ)するのは、基地建設などに抗議する市民だが、抗議活動は憲法が保障する権利の一つだ。機動隊には正当な活動そのものを排除する権利はない。まして非暴力を貫く辺野古や高江の抗議活動に対し、派遣の理由は全く見当たらない。

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 機動隊の派遣は、地域の混乱を招いている。衝突の広がりを懸念し、東村の伊集盛久村長は、ヘリパッド建設工事車両の村道通過を2度にわたり拒否した。収穫期を迎えたパイン出荷で農家が使用するため-が主な理由だ。「これ以上、高江区民を工事の混乱に巻き込みたくない」と話す。

 ヘリパッド建設には容認の立場をとる伊集村長の発言をいぶかる声もあるが、住民生活の安全と安心を優先する首長であれば至極当然な判断と言える。

 翁長雄志知事も25日、高江に派遣されている機動隊員の数について「500人とも800人とも言われるような形での動員が、過剰な警備であることは間違いない」と懸念を示した。

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 公安委による機動隊派遣要請を巡っては今回、必要な協議を開いていないことが分かった。県警は「公安委員一人一人に説明した」と事実上の協議を主張するが、議事録はなく協議内容はおろか、実施されたかどうかも闇の中だ。

 機動隊の警備体制について情報公開請求した市民への一部非公開の理由として公安委が「犯罪を敢行しようとする勢力等がこれに応じた措置をとる恐れがある」と、抗議活動を犯罪と同一視したかのような回答をしたことも批判を浴びている。

 公安委は戦後、警察の民主化と政治的中立を図る目的で設立された。本来は警察権力のチェック機関だ。

 公安委は事態の沈静化を図るため、その責任において即刻機動隊を撤退させるべきだ。