八重瀬町や商工会によると美しい海を眺めながら食事できる料理店は、町に2、3カ所という。そのうちの一つ、アリスサロンは高台のキビ畑の中にある一見、しゃれたコンクリ打ちっ放しの家。看板娘役のマネキンと薄紫色の扉が目印で、内装も洋館っぽい隠れ家風の「不思議の国」だ。

人気1番の野菜ピザ。店内は落ち着いた雰囲気

「ALICE SALON」の場所

薄紫色のドアとマネキン「シャーロット」が「不思議の国」をイメージした店へ誘う。カラフルな車で移動販売もする

人気1番の野菜ピザ。店内は落ち着いた雰囲気 「ALICE SALON」の場所 薄紫色のドアとマネキン「シャーロット」が「不思議の国」をイメージした店へ誘う。カラフルな車で移動販売もする

 一番の売りは眺望でもムードでもなく、ピザだ。直径約30センチと大きめでも、6割を占める女性客らの多くが1枚ずつ完食する。食べやすい軽快な味の秘密は生地にある。

 かむともちもちとして、ふくよかな小麦本来の甘みが楽しめる。しつこくないのは生地そのものを薄手に仕上げるから。店主の上地克樹さん(41)が手造りの石窯に入れて400度の高温でカリッと焼き上げ、食感を調和させる。

 ランチセット(千円)は6種から選ぶピザにサラダと飲み物が付く。1番人気は「野菜ピザ」。季節の町産野菜をふんだんに載せる。8、9月はハンダマやキュウリ、トマトなど6、7種。モーイのマリネをアクセントに、抑制の利いたチーズの使い方もジューシーなうま味を際立たせる。

 上地さんは家を建てた際に店舗スペースを設けて2011年、バーを開いた。「お酒にはピザが一番合う」と36歳で勤め先を辞めて4年間、県内有名パン店で生地作りを修業。妻・夏美さん(41)と5人の子育てにいそしむ間もピザ店を巡って理想の味を追い求め、15年から客に出し始めた。

 高校野球の強豪校でエースを担った根性は店づくりに反映する。石窯はより良い火力を求めて造り直すという。全ては海と緑の豊かな故郷・八重瀬で「おいしい料理を食べて、時間を忘れてくつろいでほしい」と願う一心だ。(南部報道部・堀川幸太郎)

 【お店データ】八重瀬町具志頭1380の3。昼は午前11時半~午後3時。夜は要予約で午後6時から平日ラストオーダー午後9時、金・土曜は同11時。日曜と第2・4月曜休み。13席。駐車場10台。電話070(6591)6385。