19日、恩納村の雑木林。花束をくるむフィルムに日光が乱反射していた。花は数えられるだけで403束あった。折り重なっているから実際はその倍くらいありそうだ

▼元米兵による暴行殺人事件の被害女性が発見されて1カ月。奥の花はドライフラワーのように枯れたが、この日もみずみずしい花が新たに手向けられた

▼名護市から来た男性は言った。「名護の子を守れず、何を言ってもむなしい。大人として頑張るだけ」。女性は「沖縄の将来を摘み取る基地は撤去しかない。県民みんながその責任を背負っていく」と泣いた

▼「大人の責任」。17日の名護市民集会でも、女性団体代表の岸本能子(たかこ)さん(68)が触れた。「事件が起こるたびに怒りに身を震わせても、いつも日常生活に埋もれてしまう」と打ち明けた。被害女性に「あなたは私たちを糾弾してもいいのです」と語り掛けた

▼岸本さん自身も、事件と隣り合わせの不条理な戦後沖縄を生きてきた。夫は元名護市長の建男さん。戦後60年以上たってなお基地問題に命を削られ、失った

▼沖縄で暮らす誰もがこの事件と基地問題の当事者で、同時に責任の一端を負わされている。県民大会に行った人、行かなかった人。みなが自分自身の問題として引き受けることで、人ごととしての同情や論評、政治利用は捨てられると思う。(阿部岳)