内閣府は、2017年度沖縄振興予算の概算要求額を3210億円とする方針を決めた。

 16年度当初予算に比べ140億円、4・2%の減となる。沖縄振興予算が要求段階で前年度当初予算額を下回るのは7年ぶりである。

 一括交付金は1338億円で、16年度比で275億円(17・0%)の大幅な減額要求となった。

 菅義偉官房長官は4日の記者会見で、基地問題の進展と振興策はリンクしていると明言した。鶴保庸介沖縄担当相も9日、沖縄を訪問し、「額ありきではない」と官邸と歩調を合わせた。

 国が掲げる理屈は二つ。「返還合意した基地の返還が進まなければ跡利用のための予算が削られるのは当然」だということと、「一括交付金をつけても使い切れなければ削るのは仕方がない」という理屈である。

 一括交付金の執行状況に改善すべき点があるのは確かだ。執行管理の甘さは以前から問題になっていた。内閣府はここに切り込んできたのである。

 島尻安伊子前沖縄担当相が予算編成にかかわった16年度の沖縄振興予算は、宜野湾市長選や参院選を控えていたこともあって、前年度比10億円(0・3%)の増。一括交付金の減額も0・3%にとどまっている。

 島尻氏への厚遇と翁長雄志知事への冷遇は、執行率だけでは説明できない。新基地建設をめぐって政府と対立する翁長県政に揺さぶりをかける狙いがあるのは明らかだ。

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 政府は「国の責務として沖縄振興策を実施している」ことを公式に認めている。その背景にあるのは、他府県にはない歴史的・地理的・社会的事情である。

 社会的事情とは米軍基地が集中していることから「県民生活にさまざまな影響を及ぼしている」ことを指す。

 政府は、米軍再編特別措置法を制定し、米軍再編交付金をちらつかせ、新基地建設を受け入れるかどうかの踏み絵を踏ませてきた。その上、沖縄振興予算まで基地受け入れの踏み絵に使うようでは、地方自治は成り立たない。

 名護市辺野古への新基地建設については、知事選や名護市長選、衆院選、参院選で県民の「反対」の意思が明確に示されている。

 この結果を尊重し、話し合いによって解決の道を探るのが「正道」である。永田町、霞が関に渦巻いている一時的な感情的反発で復帰以来の振興策がゆがめられるようなことがあってはならない。

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 安倍政権は、参院選が終わったとたん、露骨に「違法確認訴訟」「ヘリパッド工事」「沖縄振興予算」の三正面から翁長県政を追い詰める作戦に乗り出した。

 だが、問答無用の強硬路線は、憲法や地方自治法よりも沖縄では日米地位協定が優位に立つこと、沖縄では自治は神話であること、を政府自ら認めるようなものである。

 政府の強硬路線は、東村高江で非常に危険な状況を生み出しつつある。これ以上、事態を悪化させてはならない。