本書の出版は1999年で、17年も前のことであるが、その内容は現在のことかと思うことばかりである。

沖縄からの告発 (ゆい出版・1944円)

 戦後沖縄では米軍に絡む事件・事故は後を絶たない。なかでも女性への米兵による性犯罪はなくなることはない。95年の米兵による少女暴行事件など多発する米軍関係者の事件で、著者のワジワジー(怒り)も頂点に達していた時期かもしれない。

 桑江テル子は、長年沖縄市役所で福祉の業務に携わった。コザは基地の街と称されるほど、米軍基地との関わりは深い。そこにはおのずと米兵と沖縄女性とのさまざまな関係が醸し出されてくる。福祉に関わる問題もおのずと派生する。著者はまさに、基地・人権・福祉の真っただ中で奮闘していた。そして、桑江は役所のデスクに収まっているタイプの公務員ではなかった。発言し、行動する公務員であり、公務員である前に、一人の女性であった。そんな著者が発表したり書きためたり、志を同じくする女性たちとの行動の記録をまとめたのが本書である。

 先に、著者のワジワジーが頂点に達した時期と書いたが、今考えるとそれは間違っているかもしれない。本書で論じられている問題のほとんどは、いまだに続いているし、解決どころかますます悪化している状況である。

 辺野古・高江の問題のほう芽は、本書が出版された時期でもある。いずれも「県内移設」が96年の日米特別行動委員会(SACO)合意に盛り込まれ、現在に至るまで長期化している。日本政府は基地の削減を口にし、沖縄に寄り添うといいながら、警察力を動員して新たな基地建設を強行している。

 そんな日本政府の強硬策は、著者のワジワジーを和らげることはなく、最高潮に達せざるを得なく、心中穏やかでないのではなかろうか。

 ワジワジーが鎮まる日がいつの日になるのか。ウチナーンチュが安らげる日はいつ来るのか。(松田米雄・ゆい出版編集発行人)