台風は沖縄よりはるか南の熱帯地方で生まれて北へ移動するものだと思っていた。このパターンが通用しない北で生まれ、南へと降りてきた台風10号。これまでの常識を覆す

▼八丈島(東京)近海で19日午後9時ごろ熱帯低気圧から変わった。徐々に南下し始め、24日には大東島地方が強風域に。大東島付近で停滞した後Uターンし、本州上陸をうかがっている

▼発生場所といい、進路といい、珍しい台風だ。平年より1、2度高い海水温、活発な気流活動、二つの高気圧が作用しているという。地球温暖化が影響しているかどうかは「分からない」(沖縄気象台)としている

▼発生後は、大陸から張り出したチベット高気圧と南から勢力を広げている太平洋高気圧にはさまれる形となり、南下した後に北上するという、行きつ戻りつの複雑な進路をたどっている

▼大東島では食料品などの入荷が一時ストップするなど生活に影響し、農作物への被害も懸念される。進路によっては本島や先島への接近も心配されたが、コースをはずれてほっとした人も多かったのではないか

▼過去には進路が定まらず、沖縄周辺に何日間もとどまる「迷走台風」もいくつかあった。ノロノロとした動きにうんざりした記憶がある。台風10号も迷走気味だが、被害が出ないでくれと祈るしかない。(玉寄興也)