東村高江周辺の米軍北部訓練場のヘリパッド建設を巡り、沖縄防衛局が当初の計画を翻し、残り3地区4カ所の工事を同時並行して進める方針であることがわかった。

 防衛局が7月に県に提出した「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)環境影響評価検討図書」に明記されている。本紙が情報公開請求して入手した。

 2007年の那覇防衛施設局(当時)の「環境影響評価図書」では「工事の施工は動物の影響をより少なくするため、1地区ずつ実施する」と明記していた。

 新たな図書では3地区同時着工し、遅れている工期を短縮するために自然環境を改変する関連工事を行う。にもかかわらず、「環境への影響を回避・低減できる」と結論付けている。矛盾しているのは明らかである。

 これまでの計画にはなかった関連工事は、例えば、北部訓練場内に約5200平方メートルに及ぶ作業ヤードを設置。市民らの反対行動によって各進入口から資材搬入が困難であるとして約1・2キロ区間の工事用モノレールを敷設し人員や資材を輸送する。さらに建設資機材の一部はヘリでの輸送を計画している。

 ある地区の進入路では資材運搬車両の走行台数が当初見込みの1日当たり33台から124台と4倍近くに増える。動物が車両に巻き込まれて死ぬ事故の可能性が高まると指摘しながら、進入防止柵や速度制限などで回避・低減できると言っている。我田引水と言わざるを得ない。

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 生活環境に与える影響も大きい。ヘリパッドは高江集落を取り囲むように6カ所の建設が計画され、2カ所はすでに完成している。日本政府はオスプレイによる運用をひた隠しにしてきたが、完成した2カ所のヘリパッドではオスプレイが連日訓練している。特有の排ガスや猛烈な下降気流と熱風などが動植物に与える環境負荷についてきちんと調査されていない。

 夜間(午後7時~翌午前7時)の騒音回数も激増しており、耐えかねた住民が避難するケースも出ている。

 防衛局が県に提出しているのは、アセス法や県条例の対象にならない「自主アセス」である。本来なら、オスプレイ配備を前提に、自治体や住民、専門家らから広く意見を聴取し、環境保全について適正な配慮がなされなければならないが、防衛局は県の求めに応じていない。「アリバイ作り」というほかない。

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 高江のヘリパッド建設と辺野古新基地建設は連動している。防衛局がヘリパッド工事を強行しようとする背景には、辺野古新基地建設の遅れを懸念する米側への「配慮」がある。政府が重視しているのは米側の意向なのである。

 ヤンバルクイナやノグチゲラなどそこにしか生息しない動植物が多く、やんばるの森は世界的にも生物多様性に富む。動植物の生態系は微妙なバランスの上に成り立ち、森の改変は全体に影響を及ぼす。県民の「水がめ」のダムもあり、オスプレイの事故が懸念される。防衛局は無謀な計画を直ちに撤回すべきだ。