もう二度と起こさせない-。ただそれだけを願う沖縄の「祈り」に満ちていた。元米兵暴行殺人事件の被害者を追悼し、海兵隊撤退を求めた19日の県民大会。黒色を身にまとった6万5千人(主催者発表)が会場を埋め尽くした。地元の民意を顧みず、名護市辺野古の新基地建設を進めようとする日米両政府。「マケテナイビランドー(負けてはいけない)」。翁長雄志知事は声を張り上げ、人々は割れんばかりの拍手で応えた。

「怒りは限界を超えた」のメッセージボードを一斉に掲げる県民大会の参加者=19日午後、那覇市・奥武山公園陸上競技場

 3日前に梅雨が明け、突き刺すような日差しの下、したたる汗を拭いながら、参加者らはじっと壇上に視線を送った。開始前までは市民団体や労働組合の旗やのぼりが乱立していたが、司会の呼び掛けに応じて一斉に下ろされ、「追悼」の雰囲気に様変わりした。

 冒頭、全員が起立し1分間黙とう。理不尽な死を遂げた20歳を悼み、静かに頭を垂れた。

 プログラムに載っていなかった被害者の父親のメッセージも朗読された。大会当日まで開封しないよう言付けされていた手紙。「なぜ娘なのか。なぜ殺されなければならなかったのか」。遺族の苦悩がつづられた言葉が会場を包む。

 戦後、米軍犯罪が連綿と続いてきた沖縄。「救えなかった命、防げなかった事件。無力感、悔しさを感じている」「何人の犠牲者を出せば、沖縄の苦しみを分かってもらえるのか」。無残に命を奪われ、人権を蹂躙(じゅうりん)された幾多の被害者の存在を知る参加者らは、登壇者の言葉に「そうだ」の合いの手を飛ばす。

 あふれんばかりの思いの丈を登壇者がスピーチし、大会進行は予定時間よりずれ込んでいく。だが、その場を離れる人はいない。

 辺野古見直しや日米地位協定改定といった抜本策に手を付けず、小手先の対応に終始する日本政府。「いつまで沖縄はばかにされるのか」。登壇した玉城愛さんが声高に叫ぶと、ひときわ大きな拍手が湧いた。

 大会の最後、参加者らは一斉に「怒りは限界を超えた」「海兵隊は撤退を」と書かれたメッセージボードを頭上に。ボードを読み上げる地響きのような声が灼熱(しゃくねつ)の夏空にこだました。