粟国島のあちこちに生えているハーブで、香り豊かなアロマ製品を作って売り出そうという試みが始まっている。年明けの実現を目指して総務省「地域おこし協力隊」の橋本佳奈さん=神奈川県出身=が試作中。社会福祉士やアロマセラピストの経験を生かして「観光を終えて家に持ち帰った後、粟国のことを香りとともに思い出してもらえるような特産品にしたい」と意気込んでいる。(南部報道部・堀川幸太郎)

橋本佳奈さん(奥)が泡盛と粟国島の自生ハーブで試作中の「チンキ」。左から月桃とアカバナ=粟国村東

 作るのはアロマセラピーで使う「チンキ」。本来は高純度のアルコールに薬草を漬け込んで成分を抽出し、美容などに利用する。6月から仕込んでいる「粟国版チンキ」はアルコールの代わりに泡盛を使い、通常よりも爽快感のある、ふくよかな香りを引き出した。

 泡盛には、美肌成分のある島の月桃や、入浴剤として期待できるアカバナなど5種を漬ける。

 入っている小瓶を揺らすと、透明感のある赤や緑に染まった泡盛がゆらゆらとして、見た目も楽しめる。薬効に応じた使い方などを検討し、まずは村観光協会の体験型観光メニューに加え、来島者にも作ってもらいたい考えだ。

 橋本さんは都会の横浜市で両親共働きの家に生まれ、小学校の下校後は祖父母や曽祖母と過ごした。一時はIT企業に勤めたが、地域のお年寄りのためになる仕事をしたいと30代で社会福祉士として働き始めた。

 介護予防の一環として、自らがリラックス効果などを体感していたアロマに着目。セラピストの資格を取って予防教室で使うと、お年寄りが幼い頃の思い出を詳しく語りだす呼び水になったという。香りが脳の記憶をつかさどる部分を活性化させるという研究もある。

 橋本さんは、高齢化率3割を超え、自生ハーブの豊かな村なら自らの経験を生かせると考え、4月から地域おこし協力隊として暮らしている。「島の人と一緒に、ゆくゆくは島で仕事を生む商品に育てたい」と意気込んでいる。