ユニークな発言で知られるボクシング元世界王者の具志堅用高さんに、クイズ番組に出演した時の逸話がある

▼「風はヒューヒュー、では地震は?」。正解は「ガタガタ」だが、具志堅さんの答えは「マンマン(満々)」。地震と「自信」を取り違えたようで、珍回答に会場は大爆笑だったという

▼笑える逸話でふと気づくのは、「間違えること」の大切さである。一つの正解を探すだけの生活では味気ないし、人は間違いから多くのことを学ぶ

▼間違えることに最も臆病なのは学校現場かもしれない。満点からミスをした分を差し引いていく「減点主義」が根を張り、要領よく正解を出すことが重視されるからだ。点数や順位を上げることは大事だが、それだけでは新たな発見も独創性も生まれそうもない

▼詩人の蒔田晋治さんの作品「教室はまちがうところだ」の一節にある。〈まちがった意見を言おうじゃないか まちがった答えを言おうじゃないか〉。間違ってもいい、逆に間違った意見や答えが歓迎される教室は楽しそうである

▼きょうから9月。長い夏休みが終わり、教室に生徒たちの元気な声が戻ってくる。天才ボクサーの珍回答を借りれば、間違っても「ガタガタ」することはない。肩の力を抜いて「自信満々」に間違えようよ。大丈夫、教室はまちがうところだから。(稲嶺幸弘)