B型肝炎の予防接種がことし10月から定期接種になります。2016年4月以降に出生した生後2カ月から1歳までの乳児が対象となります。

 世界保健機関(WHO)はB型肝炎を撲滅するため、生まれた子ども全てにワクチン接種が必要だと宣言しています。これをユニバーサルワクチン接種と呼びます。14年時点、183カ国ではB型肝炎ワクチンが定期接種となっています。

 日本では、感染リスクの高いB型肝炎ウイルスキャリアの母子感染予防を行っていました(選択的接種)。感染は劇的に減少し、この病気もなくなるものと思われていましたが、そうではありませんでした。

 B型肝炎は血液、尿、唾液、汗、涙、精液などの体液を介して感染します。このためB型肝炎を撲滅するには家庭内や集団生活の場での水平感染予防も今後必要とされているのです。

 B型肝炎に感染すると一過性感染で終わる場合と持続感染になる場合があります。

 B型肝炎ウイルス感染は年齢が低いほど免疫応答が弱くウイルスを排除することができないために、肝臓にウイルスが排除できず持続感染することがあります。

 持続感染には症状が出ないまま体内にウイルスを持ち続ける無症候性キャリアと、長期間に渡りゆっくり肝臓が破壊されて、やがて肝硬変や肝がんに至る慢性肝炎があります。

 このような持続感染は年齢が低いほど起こりやすく、1歳未満では90%、5歳までは20~50%、10歳以降では5~10%と言われます。

 これに対して成人など一定の年齢以上の人がB型肝炎ウイルスに感染すると約30%の人が急性肝炎を発病し、残りの人は不顕性感染となります。

 急性肝炎を発病した場合でも症状が軽く、多くは予後良好です。しかしその中で約2%は劇症肝炎となり、劇症肝炎の約70%が死亡すると言われます。

 B型肝炎ウイルスに対する抗体ができて急性肝炎が治癒しても、感染したウイルスの遺伝子は一部肝細胞核内に取り込まれて完全には排除できないことがわかってきました。

 完全には排除できないため、免疫抑制剤の使用など宿主の抵抗力の減弱に伴って再活性化する危険性があります。

 また、最近若年者の間で性的接触による慢性化しやすいタイプの感染の割合が徐々に増加しています。海外交流が盛んになっており、若い世代にも接種が望まれます。今後の課題は、定期接種以外の子どもや若年者に対するワクチン接種をどう勧めるかでしょう。(国吉賢 ファミリークリニック小禄)