【小橋川慧通信員】大阪を拠点に演劇やミュージカル活動をしている「からだとこころの出会いの会」(通称「からころ」、松井洋子代表)のメンバー70人が14日、カナダのマニトバ州都ウィニペッグの美術館で「沖縄のこころ・エイサー」公演を行った。マニトバ州文部大臣イーアン・ウイシャートさんも出席。勇壮かつ繊細な演舞に、会場を埋めつくした観客は総立ちになって拍手で応じた。

からころ会が披露した創作エイサー「雪渡り」の一場面=カナダ・マニトバ州

 からころ会はこれまで3年間、同州でエイサーを披露し市民に感動を与えてきた。今年は、マニトバ州日本文化協会アート・ミキ会長の強い要望で公演を開催。

 第1部は伝統エイサー、第2部は創作エイサーを披露し、会場を盛り上げた。「宮沢賢治の世界」と銘打った第3部は「セロ弾きのゴーシュ」「風野又三郎」「雪渡り」などの宮沢賢治の作品を松井代表らがミュージカルにしてきた中から数曲を選び、創作エイサーとして披露した。

 人間の子と狐(キツネ)の子の楽しい交流を描いた「雪渡り」では「狐は人をだます」という女の子に、子狐が「それは人間の最もひどいうそ。狐は無実の罪を着せられてきた」と反論する内容を紹介した。

 カナダ政府は第2次大戦時、日系カナダ人に「敵性外国人」のレッテル(ひどいうそ)を貼り、強制移動・財産没収を行った。1988年、カナダ政府に日系人に対する人権侵害の誤りを認めさせ、謝罪と補償を勝ち取った立役者は、今回のエイサー公演を実現させたアート・ミキさんだ。

 今回の公演で「人間の狐へのひどいうそ」と「カナダ政府の日系人へのひどいうそ」が重なったことについて松井さんは「ミキさんから招待があった時に、雪渡りを意図的に演目に選んだ。もちろん、ひどいうそはカナダ政府だけでなくいたるところにあります」との返答があった。

 最後にメンバーは全員で、東日本大震災の被災者支援の曲「花は咲く」の英語版を合唱。観客と演者との一体感は感動的だった。