沖縄の海に異変が起きている。いや、沖縄の海だけではない。日本周辺に限定しても、異変はもっと広域的だ。

 和歌山県田辺市の天神崎で、サンゴ類の生息数が増えている、と1日の朝日新聞デジタル版が報じている。

 石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」では、サンゴの白化が急速に進んでいることが分かった。

 水温の上昇によって、温帯でサンゴの分布が北上し、亜熱帯では大規模なサンゴの白化が起きているのである。

 環境省那覇自然環境事務所が7~8月、石西礁湖海域で実施した調査によると、35カ所で約9割のサンゴが白化しているのを確認した。

 内訳は「全体が死亡」5・4%、「全体が完全に白化」24・2%、「一部白化・一部死亡・全体的に色が薄い」が60・0%だった。

 サンゴの白化は、光合成を担う褐虫藻がサンゴからはじき出され、サンゴが死にかけて真っ白くなる現象のこと。海水温の上昇が原因だとされている。

 先島諸島の海域では6~8月の平均海面水温が観測史上最高値の30・1度と高い状態が続いた。

 このまま海水温が下がらない状態が続けば、1998年の大規模なサンゴ白化が再現され、多くのサンゴが死んでしまう恐れがある。

 サンゴが死に絶えると、生態系に影響を与えるだけでなく、観光にも大きな打撃となる。海からのSOSに耳を澄まし、私たちに何ができるか何をなすべきかを考えたい。■    ■

 海の「砂漠化」ともいわれる白化現象を取材した下地広也・本社カメラマンは、石西礁湖と同様、西表島西側でも大規模な白化が進んでいる、と指摘する。

 白化したサンゴが画面いっぱいに広がる写真(5日付本紙)は痛々しくもあれば神秘的でもあり、思わず息をのむ。

 サンゴ再生の試みは本島・離島を問わず活発であり、多くの成果が報告されている。だが、死んでしまったサンゴは簡単には回復しない。再生するのは容易でない。

 海面の温かい水と深海の冷たい水が台風の発生によってかき混ぜられると海水温が下がり、サンゴは徐々に元気を取り戻していくが、「台風頼み」ではない白化対策はないのだろうか。

 沖縄科学技術大学院大学のチームは、サンゴと共生する褐虫藻のゲノム(遺伝子情報)研究を進めている。水温上昇がどのようなメカニズムでサンゴに影響を与えるのか。研究の深化を期待したい。

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 この8月、三つの台風が相次いで北海道に上陸した。観測史上初めてのことである。沖縄近海まで南下した台風がUターンして北上するのも異例だ。これまで見られなかったような気象現象が各地で相次ぎ、深刻な被害をもたらしている。

 気候変動や異常気象の背景にあるのは地球温暖化に伴う海面の水温上昇である。サンゴを「島んちゅの宝」と位置づける沖縄にとって、サンゴの白化は、自然からの警告と受け止めるべきだろう。