子どもの貧困問題を扱ったNHKニュースに対し、インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷がやまない。困窮を訴えた女子高校生を「貧困ではない」などと、よってたかってのバッシングが続く

▼貧困には飢餓に直面するような状態の「絶対的貧困」と、その社会で普通とされる生活ができない「相対的貧困」がある。このことへの無理解が騒動の元凶だ。8月18日の放送直後から批判が噴出し、片山さつき参院議員が同調すると事態は炎上した

▼高校生が顔を出して取材に応じたのは、それが問題解決につながると信じたからだろう。なのにつるし上げられ、個人情報まで暴露され、深刻な人権侵害になっている

▼中傷が出始めると、有識者らが即座にネット上で貧困の定義を説明し反論。メディアでは、東京新聞(8月23日付)や毎日新聞(同25日付)などが騒動の異常性に警鐘を鳴らした

▼NHKの広報は「取材に応じてくれた人を守る取り組みは個別にやっている」と回答。ただ、番組上で反論したことは「ない」、今後も「あるともないとも言えない」と述べた

▼国会議員も加担した個人攻撃に対し、報じたNHKは番組上で積極的に反論してもいいのではないか。さらに掘り下げた貧困問題の特集を作り、世に問う手もある。誤った情報を打ち消し、勇気を出して訴えた高校生を守るためにも。(磯野直)