プロ囲碁棋士 玉井伸さん(26)=西原町出身

 予選、決勝リーグと幾多の激戦を勝ち抜いた者だけが手にするプロ囲碁棋士の資格。年間合格者わずか数人の狭き門を、若干15歳で突破した。その後、9年をかけて現在の四段に昇段。「窮地に追い込まれても最後の一手まで勝負を諦めない」を信念に“棋道”を追い求める。

「力をためて最後に一気にぶつけるのが自分の戦い方」と語る玉井伸さん=8月25日、都内の日本棋院

 小学2年の時、父親が真剣に打つ白と黒の碁石に興味を持った。碁盤の中で互いに陣地を囲い、取り合うシンプルなルールだが、勝つためにはさまざまな戦術があることを知り、奥深さに引き込まれた。

 父親に手ほどきを受けながら、県内外の大会に出場。全国大会でも上位に入賞するまでに力をつけた。とある会場で、数々のプロを輩出してきた棋士養成校「緑星囲碁学園」の菊池康郎校長に「真剣にプロを目指してみないか」と声を掛けられた。「もっと上にいきたい」と両親を説得。小6で単身、東京の小学校に転校し、内弟子として校長宅に住み込み、全国から集まった兄弟子らと時間を忘れて碁盤に向き合った。

 プロの対局は平均6、7時間。タイトル戦では2日掛かりとなることから、長時間の体力、集中力が求められる。校長は「日々の生活がそのまま囲碁に反映する」。特に生活をしっかり律するよう指導を受けた。厳しい修業の結果、15歳で初段に合格し、プロの世界へ。7年後の22歳で住み込みを「卒業」した。「沖縄に帰れずつらい時期もあったが、一人前になってから帰ると、頑張った」

 世界の競技人口は4千万人ともいわれる。戦略性の高さから政治家や経営者の愛好家も多い。トップ棋士ともなると年間1億円以上もの賞金を得る。「大事なのは大局観を持って手を進められるかどうか。勝機をものにできたときの醍醐味(だいごみ)は格別だ」。次の目標は2、3年内の五段昇格だ。(小笠原大介東京通信員)=連載・アクロス沖縄<20>

 【プロフィール】たまい・しん 1990年、西原町生まれ 小2で父親の影響を受け囲碁を始める。小6で全国少年少女囲碁大会準優勝。東京中野の緑星囲碁学園の門下生となり、15歳でプロ初段に合格。24歳で四段に昇格した。通算成績は135勝125敗。日本棋院東京本院所属。