東日本大震災の3カ月後、津波の爪痕が残る仙台市の路上で保護された犬が、沖縄で元気に育っている。引き取った浦添市の宮里孝子さん(51)は毎月11日、「飼い主がいたかもしれない」と気遣い、思いを込めてシャンプーを欠かさない。「沖縄で元気に過ごしていますよ」(学芸部・榮門琴音)

宮里さん(右)に引き取られた寿寿。散歩に付き合う母・スミコさん(80)は「おりこうだよ」となでた=8月24日、浦添市内

阪神大震災後、住宅跡の犬小屋(左)につながれた犬。右端には「エサをやらないでください」と書かれていた=1995年、神戸市東灘区(稲垣暁さん提供)

宮里さん(右)に引き取られた寿寿。散歩に付き合う母・スミコさん(80)は「おりこうだよ」となでた=8月24日、浦添市内 阪神大震災後、住宅跡の犬小屋(左)につながれた犬。右端には「エサをやらないでください」と書かれていた=1995年、神戸市東灘区(稲垣暁さん提供)

 「自分にできることは何か」。震災後、支援の仕方を悩んでいた宮里さんの背中を押したのは、宮城県出身の2人の友人だった。

 2人の無事を知った宮里さんは「友達が生きていること、普通の暮らしのありがたさを忘れないようにしたい」と思い、一時的ではなく長い目で協力できる被災犬の引き取りを申し出た。

 2012年1月、仙台市動物管理センターまで出向き、推定3~4歳のオスを引き取った。2人の友人の名前にそれぞれ「寿」があったことから、「寿寿(しゅしゅ)」と名付けた。

 寿寿は震災の3カ月後、仙台市宮城野区の海岸沿いで他2匹と一緒にいるところを保護された。おびえてしばらくはゲージから出てきてくれなかったという。

 「動物は何が起きたか分からない。餌もない。人もいない。本当に不安だったはず」と宮里さんは想像する。当初はびくびくしていたが、沖縄に連れて8日目、出会って10日目で、初めておなかを見せてくれた。