辺野古や高江をめぐって日本政府と沖縄社会の間には、かつてない緊張感が高まっている。政府は、ここに新しい米軍基地を造ることが、中国や北朝鮮に対する抑止力を維持・強化するために不可欠だと主張する。その主張を裏付けるために、尖閣周辺への中国公船の侵入や、北朝鮮のミサイル発射が強調される。一方、大型クルーズ船に乗ってやってくる中国人観光客の「爆買い」による経済的効果は、官民挙げて歓迎される。

法政大学出版局・4752円/ペク・ヨンソ 1953年生まれ。専門は中国現代史、東アジア現代史。韓国・延世大教授。

 いま東アジアは、経済的領域における相互依存と、政治や安保の領域における対立・葛藤・分断が同時並行的に進行している。本書の著者・白永瑞は、こうした矛盾が凝縮した地域を「核心現場」と呼び、特に朝鮮半島、沖縄、台湾を例示する。

 著者は、国民国家を単位とした思考の枠組みを超えた東アジア的視座の必要性を唱える東アジア現代史の研究者であり、同時に、韓国の代表的雑誌『創作と批評』の編集者でもある。東アジア批判的雑誌会議などで何回か沖縄も訪れ、私たちとも交流を持っている。

 本書のタイトル『共生への道と核心現場-実践課題としての東アジア』は、これまでの東アジア言説と連帯運動をふり返り、新たな学術理念と制度を模索し、「核心現場」から東アジア共生社会への道を見いだそうとする著者の問題意識を表現している。

 本書は、韓国で出版された著者の2冊の著書から、日本語圏の読者を対象に著者自身が選定した文章を、プロローグを含め全13章に再構成したものである。半分以上が雑誌論文や国際会議の報告文として、すでに日本語に訳されているという。第1章「核心現場に見いだす東アジア共生への道」は、那覇の会議における報告文をベースにしている。全体としては、決して読みやすいものではないが、核心現場で闘いつづける者にとっては、多くのヒントや勇気を得られる本である。

 中島隆博東大教授の長文の解説と著者との対話も収録されており、本書を理解する手助けとなっている。(新崎盛暉・沖縄大名誉教授)