台湾北東部の宜蘭県蘇澳鎮を訪ねたことがある。バスの中から見た港には、漁船が何百隻も停泊していた。普通の田舎町だと思ったが、カジキやマグロ漁の一大拠点だと知ったのはその後

▼沖縄と経済、文化、観光交流を促進しようと宜蘭県が那覇市に事務所を設置した。台湾の自治体が沖縄に拠点を構えるのは初めてだ。県長(知事)の林聰賢氏が翁長雄志知事に報告した

▼現地採用の事務所代表は、台湾と沖縄を仕事で行き来するコンサルタント会社社長の大湾文子さん(35)だ。父親が台湾、母親が沖縄出身で中国語が堪能。民間の台湾琉球協会で活動してきた実績も評価された

▼「台湾人と日本人は似たところが多い。特に沖縄とは歴史的にも関係が深く、協力しやすいパートナー」。双方向の関係を築き、大都市にはない地方の魅力も伝えていきたいと意気込む

▼沖縄事務所設置は台湾でも報道され、問い合わせが相次いでいるという。「台湾の企業は沖縄に進出したくても、つてがない、窓口がない、言葉が通じない、だった。ビジネスチャンスも広げたい」

▼操業ルールを巡る漁業協定などでは相いれない部分もあるが、政治とは切り離し、民間交流を積極的に展開する考え。小さな事務所をスタートに、交流のパイプを太く、強くしていくことを期待したい。(玉寄興也)