全国でも初めての、異例づくめであると同時に、極めて重大な意味を持つ訴訟の判決が16日、言い渡される。

 いきさつはこうだ。

 翁長雄志知事が名護市辺野古沿岸域の埋め立て承認を取り消したことで、沖縄県と日本政府が三つの裁判で相争う異例の事態が生じた。

 この異常な状況は、国と地方公共団体が「対等・協力の関係」になることをうたった1999年の地方自治法改正の「精神にも反する」として福岡高裁那覇支部は、国と県に和解を勧告。政府と県はこれを受け入れ、三つの裁判をすべて取り下げた。ここが重要なポイントである。

 ところが、国土交通相は和解が成立した直後に、知事に対し、違法な承認取り消し処分を取り消すよう是正を指示した。政府には、問題解決に向け真摯(しんし)に話し合う気がはなからなかったのだ。

 県知事は、是正の指示は違法であるとして第三者機関の国地方係争処理委員会に審査を申し出た。係争委は、是正の指示が地方自治法の規定に適合するかどうかの判断を避け、国と県が真摯に協議することが問題解決に向けた最善の道、だと強調した。ここが二つ目の重要なポイントだ。

 このような経緯があるにもかかわらず、国交相は7月22日、県知事を相手に不作為の違法確認訴訟(辺野古訴訟)を福岡高裁に起こしたのである。

 福岡高裁には、自らが行った和解勧告と係争委の判断を踏まえ、法の支配と地方自治の本旨を実質的に実現するような判断を求めたい。

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 一連の過程は明らかに「国と地方のあるべき関係からかい離している」と係争委は指摘した。

 かつて国と県が争った代理署名訴訟で福岡高裁那覇支部の裁判長を務めた大塚一郎さんも「普天間飛行場の移設先をどうするかは政治の問題で、法ではない」と述べ、国と県が協力して協議しない限り解決しない、と強調する。

 16日の判決に求められているのは、国と県の異常な関係を正道に戻すような内容の司法判断である。

 気になるのは、福岡高裁の多見谷寿郎裁判長が法廷で何度も、翁長知事に対し、「判決に従いますね」と確認を求めた点だ。まるで県敗訴を前提にしているかのような口ぶりである。

 異例の和解勧告は、国敗訴の可能性があることを念頭に、国敗訴の事態を回避するための助け船だった-そのような疑念が生じることがあってはならない。

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 辺野古沖を埋め立てV字形の滑走路を二つ設置する現行案は、住民生活に大きな影響を与えるだけでなく、地方自治や自然環境をも脅かす重大な事案である。だが、移設先は、当事者抜きに日米合同委員会の密室で決められたものだ。地元名護市も沖縄県も現行案には同意していない。

 かつて県や市が受け入れた移設案は一方的に反古(ほご)にされ、閣議決定さえ県への事前相談もなく葬られたのである。「国防上・外交上の必要性」という一般論で片付けられるような事案ではない。