沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、石井啓一国土交通相が沖縄県の翁長雄志知事を訴えた「辺野古違法確認訴訟」で福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は16日、国側の請求を認め、県側敗訴の判決を言い渡した。埋め立て承認取り消しが違法と認定された。知事の「提訴は地方自治の軽視で、民主主義に禍根を残す」との訴えは届かなかった。

辺野古違法確認訴訟の判決が言い渡された法廷=16日午後、福岡高裁那覇支部(代表撮影)

石井国交相(左)と翁長知事

辺野古違法確認訴訟の判決が言い渡された法廷=16日午後、福岡高裁那覇支部(代表撮影) 石井国交相(左)と翁長知事

 県側は判決を不服として、23日までに最高裁へ上告する方針。訴訟では知事が公有水面埋立法に基づいて、適法に埋め立て承認を取り消したかや、国が都道府県の事務に関与できる範囲などが争点となった。

 国側は「翁長知事は瑕疵(かし)のない承認処分を違法に取り消し、裁量権を逸脱した。是正せずに違法状態を放置し、普天間飛行場の移設計画や日米関係、国の安全保障に不利益を与えている」と主張。

 これに対し県側は「知事の取り消し処分は適法で、裁量の逸脱・乱用はない。違法な放置もしておらず、国交相は安全保障の国益を主張できる行政庁ではない」と反論。訴えを退けるよう求めた。

 第1回口頭弁論は8月5日で、同月19日の第2回弁論で結審した。県側が求めていた稲嶺進名護市長や環境・安全保障の専門家8人の証人申請は却下され、翁長知事の本人尋問のみが認められた。

 国と県は、3月の代執行訴訟の和解で、辺野古の埋め立て工事を中止し、「円満解決に向けた協議」を続けた。しかし、普天間飛行場の移設先を「辺野古が唯一」とする国と、「辺野古移設阻止」を掲げる県の溝は埋まらず、国が7月、再度の提訴に踏み切った。

 国が都道府県知事を相手にした、違法確認訴訟の提起は初めて。